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2018年11月01日07:43

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☆洋ちゃんの読観聴 No. 1303

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1303

ジョー・ネスポ 「真夜中の太陽」                

ジョー・ネスポは刑事ハリー・ホーレ・シリーズで
世界的人気を博しているノルウェーのミステリー
作家だ。シリーズでは、凝ったストーリー展開で
読者を楽しませてくれる。

本書はシリーズ外の作品。昨年『その雪と血を』を
紹介したが、それに近い。

オスロから一人の男がノルウェー最北端の小さな
村にやってくる。男は麻薬組織にいて、人を殺し
金を持ち逃げしている。そのうち追っ手がやってくる
のではないかとおびえている。

そんな村は少数民族サーミ人が居住する地だ。
およそ都会の拝金主義とは真逆の素朴な生活を
営んでいる人たちである。信仰する宗教もキリスト教の
中の一派だが、一般的な教えと少し違うようだ。
また、彼らの文化習慣もかなり異なる。

そんなサーミ人の男の子とその母親に男は出会い、
住むための小屋を貸してもらい住み始める。
サーミ人母子には夫・父がいるが、漁にでかけて
行方不明のままだという。また、このカップルが結婚した
経緯が尋常でないことがわかってくる。

悪の組織にいた人間ではあるが、この主人公は
気が小さく優しい心も持っている。かつて恋人も
いたことがあるが、うまくいかなかった。自分は社会で
生きる値打ちがあるのだろうかと悩む。だが、男の子と
遊び、その母親と接するうち、次第に彼は母親に
恋情を抱くようになる。

登場人物は少なく、複雑な話ではない。主人公の
男の心の動きが読みどころだろう。そして、背景に
広がる白夜の世界は凍えるような寒さ。野生動物も
現われ、臨場感たっぷりだ。


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