本当にやりたいことが見つからない女子大生の典子(黒木華)と同い年のいとこ美智子(多部未華子)は、近くに住む“武田のおばさん”(樹木希林)が茶道教室の先生だったと知り、毎週土曜日に通う決心をする。未知の領域だった茶の湯の世界、そこでふたりを待ち構えていたものは…。原作は森下典子の小説。監督は“たまにはこんな作品も撮ってみたかった”的な大森立嗣。
典子と美智子、早々にキャラ違いの説明があり、なるほどこれは観る側にどちらに感情移入するか選ばせる手法かなと思うも、結局両者にそれほどの差はなくともにけっこう育ちのいい優等生。まるで茶道の教則DVDを観るようなカメラワークが続く前半部分に限れば、(残念ながら後半は物語の軌道を離れる)多部未華子が典子を演じてもさほど違和感がないと思った。
そして樹木希林のたたずまいは優美そのもの、おそらく今回の好演は随所で語られることになるのであえてここではそのひとことに。茶室の縁側からのぞく季節ごとの色彩にうまく合わせたように、茶の湯をたしなむさいの和装の武田先生そして洋装のふたりのコーディネートは、後半部分にたびたび登場する和装女性集団の華やかさよりもずっと滋味に満ちていると思った。
それにしてもここまで茶道と真正面から向き合った映画作品がいままであったかどうか。日本人なら各世代、と言うよりもぜひ海外のひとに観ていただき、日本の静謐なる四季折々の美しさを味わってほしいと思ったし、なによりも近所のオバちゃんを集めて井戸端会議がわりに茶道を教えていた亡き母に、ぜひとも観せてあげたかったとしみじみ感じた作品でした。
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