mixiユーザー(id:2399973)

2018年10月06日13:50

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「教誨師」〜死と向き合う対話

大杉漣、最初のプロデュース作にして最後の主演作。彼が演じるのは6人の死刑囚と向き合う着任後わずか半年の牧師(教誨師)・佐伯。一方、死刑囚の側には光石研・古舘寛治・烏丸せつこといった演技派がならぶ。物語はすべて拘置所内の一室〜教誨室という限られた空間で展開、さらにそのほとんどが教誨師と死刑囚がテーブルをはさんだままでの会話劇に終始する。

実際に起きた事件の犯人をモデルにしたと思われるキャラを含む6人の死刑囚たちは、終始気まぐれで身勝手な思いを佐伯に投げつける。その場しのぎの言葉だけを口にする者や、世の中全体に対するやりきれなさをシニカルにぶつける者、いらだちをすべてユーモアでくるんで吐露する者、なかにはほとんど言葉にならない何かをつぶやく者、そして終始黙ったままの者も…。

佐伯はそれら死刑囚たちが発信するムチャブリにたいし、落ち着きはらったまますべて温かく丁寧な言葉で実直に投げ返す。ただ大杉漣という役者が演じているがゆえに、この静かなやりとりがやがてどこかで破綻し、すべてをひっくり返すような展開を見せるのではないかという、奇妙な緊張感がずっとつきまとい、観ている側はスクリーンから目が離せなくなる。

物語はすべて拘置所のなかと書いたけど、一日の勤めを終えた佐伯が屋外へ出るシーン以外に、もう一か所だけそうでないシーンが途中にはさみこまれ、その部分が強烈なスパイスのように物語全体を覆っている。自己の生と死を見つめ、罪と赦し問う言葉から、日本社会全体に向けたメッセージまで、これほどひとつひとつのセリフが重たい作品も少ないのではと感じました。
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