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2018年09月11日16:45

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母親が最期に聴いたモータウン

日付がかわって8月10日の深夜、病態が悪化して前日個室に移された母親に私はひとりつきっきりだった。「もう長くはない、きょうあすあたりがヤマ」などと担当医からは言われていたが、「8月の声を聞くことはない」と7月初めに言ったのもこの担当医。何を信じたらいいかわからないけれど、とにかくできるだけ長く、やせ細って病と闘う母親のそばに居てやろうと思った。

ベッドに横たわる母親はふいに「ラジオ、ラジオ」と言いだした。それまでは苦しみながらどこそこが痛いとか、どこそこをさすってくれとか、自身の症状に関することしか口にしなかった母親が、ひさしぶりに発した具体的な希望。そう、母親にとってのラジオとは、以前の元気なころからそして入院中も肌身離さず持つ、大切なもののひとつなのだ。

私はあわてて枕元のラジオをONにしてイヤホンを母親の耳にあてがい、MBS「朝からてんコモリ!」とならぶ母親のお気に入り番組NHK「ラジオ深夜便」にチューニングを合わせた。そこでは深夜2時台「70年代モータウン特集」が終盤にさしかかり、「ジス・ウェイ/テルマ・ヒューストン」「永遠の人に捧げる歌/コモドアーズ」「クルージン/スモーキー・ロビンソン」が順番に流れた。

曲目をしっかり覚えているのは私も手元のスマホで聴いていたから。母親にとってはなじみのない曲ばかり、どんな気持ちで聴いていたんだろう。そして人生最後に親子で一緒に聴くラジオ、そこで流れた楽曲がモータウンとは。3時のニュースがはじまったあたりで母親はスヤスヤと眠りに。亡くなったのはそこからほぼ1日あと。そう、きょうでちょうどひと月になります。
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