5時間越えの長尺「ハッピーアワー」で注目された濱口竜介監督、待望の商業映画デビュー作。上京しカフェで働く大阪出身の朝子(唐田えりか)が出会った亮平(東出昌大)、彼はかっての恋人・麦(東出・二役)と瓜二つだった。それを知らず朝子に思いを寄せていく亮平、彼女の心は揺れ動く…。パルムドールの栄冠に輝いた「万引き家族」とともにカンヌ映画祭ノミネート。
原作は柴崎友香の恋愛小説。わがままな女性が無自覚のまま男性を振り回し、ふたりはくっついたり離れたりをくりかえす…物語の大枠だけを語れば、古今東西何度となく観てきた王道かつ古典的な恋愛ものと変わらない。なのにこの作品の登場人物それぞれには、いままでに感じることのなかった大きな魅力を感じるのはなぜだろう。
まずは前作「ハッピーアワー」と同じように、そこで話される関西弁がとてもリアルな日常のものだということ。セリフのなかに散在するツッコミ的な言い回しも、いかにもイマのお笑いのノリそのもの、表現過剰な関西弁に出くわしてウンザリすることが他の映画作品ではけっこうあるけど、今回のリアルな感触には非常に好感が持てた。
でもやはり最大の魅力は、ヒロイン朝子を演じた唐田えりかのみずみずしさ。前作「ハッピーアワー」の例を出すまでもなく、ほとんど無名の存在が作品にリアリティをもたらすということは言わずもがな(彼女の棒読みセリフも前作の残滓か〜これは濱口監督の手法なり)、この透明感あふれる存在には、ヘンに女優っぽくなってほしくないなと勝手なことを思ったのでした。
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