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2018年08月10日21:56

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エバーグリーンの熱い声 ( ロジャー・ダルトリー『As Long as I Have You』を聴く )

「日本でいちばん人気の無かったロックスター」、ザ・フー。
どうして人気が無かったのか?については当時から色々取り沙汰されていたのだけど、僕が大昔(フー解散後)に聴いたNHK FMの海外コンサート番組で司会を務めていた渋谷陽一氏が、このバンドのリードボーカルであるロジャー・ダルトリーの唱法を原因のひとつに挙げられていたのを今でもよく憶えている。
要するに彼は「(ポール・ロジャースやデヴィッド・カヴァーデイルのような)演歌が歌えない」「伸びが無い。こぶしを回さない。」「(シャウトや声が)硬質」というもの。
う〜ん、なるほどなぁ?だけどそれだけなのかなぁ?と当時からファンだった自分は戸惑うばかり。

フーはもともとR&B大好きバンドで、もちろんロジャーもそうだったと思う。それでも彼は独自のボーカルスタイルを作り上げた。自分の声に見合ったものを模索してのことだろう。それが当時の洋楽ジャパンでは受け入れられにくかった・・・ということではないのか。

そんな恨みはともかくも今作、なんと!26年ぶりのソロアルバムなんですよ。
え!?そんなに長いブランクがあったのかと、逆にとても意外だ。

で、聴いてみれば、これがまさに満を持して、と言うに相応しい、素晴らしいアルバムなんである。

なによりもその、変わらない熱いボーカル。硬い硬いなんて昔は言われたかもしれなくても、その声を維持しているのは逆に凄いことだ。こういうシャウト唱法のボーカリストはお歳を召すとどうしても衰えが目立ってしまうものだけど(例えば、「紫」のあの方とか・・・)、アルバムから放たれるどの歌もまさに変わることのない、筋金が入った迸りに溢れる「青年の声」そのものだ。

カバー曲のセレクトもいい。スティーヴィー・ワンダー、ボズ・スキャッグス、スティーブン・スティルス。そしてニック・ケイヴの「Into My Arms」を声を落としてしっとり歌ってみたり、いちばんびっくりしたのはパーラメントの「Come In Out of Th e Rain」をなぜか改題して取り上げていること。だけどそのドラマチックな曲調を見事に歌い上げている。

確執が伝えられていたらしい、同じフーのメンバーであるピート・タウンゼントが7曲参加しているのも聴きどころ。元スタイル・カウンシルのミック・タルボットも全面参加。
ホーンセクションやコーラスなど、かなり米国南部テイストを思わせるサウンドだが、本場のそれとは違う英国風の陰影や「硬さ」を感じるのが、彼独自の味わいをもたらしているような気がする。


1 As Long As I Have You
2 How Far
3 Where Is A Man To Go
4 Get On Out The Rain
5 I've Got Your Love
6 Into My Arms
7 You Haven't Done Nothing
8 Out Of Sight, Out Of Mind
9 Certified Rose
10 The Love You Save
11 Always Heading Home

「Get On Out The Rain」
https://youtu.be/VcqzNuKwsio


「Into My Arms」
https://youtu.be/5mwsuD7Ay1o

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