キミに触れる
キミの体温を知りたくって
棘にそっと指押し付ける
キミは棘をびくりと立てる
悲しいほど身を縮こまらせて
僕の指は引かない
初速度のまま
キミの肌を目指す
小さな穴があく
ぽつり
血のしずくが穴の脇から隆起をつくる
ぽつり
ぽつり
指
それでも進む
棘を飲み込みながら
「触れたいだけなんだ」
【網膜に滞留するなみだの出来かけは、透明なまま血を含んでいる】
キミの棘
ひょっとして
生やしているではなく
刺さっているの?
身を守る為の武器ではなく
キミを傷つけている凶器なのか?
たまらなくなって流れた血が
棘を伝ってキミの肌に届く
「それ、僕の体温なんだ」
棘は抜けない
抜くと失血死するから
キミは棘を背負って
この先も生きていくつもりなんだね?
僕は無力だ
いつかこの血を言葉に変えて
君に届ける技術が欲しいよ
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