僕ら透明な櫂握りしめ
そらふねを漕いだ
掛け声はいつしか歌になり
僕らは産まれて初めて声を出して笑った
そらふね
雲を乗り越え
乱気流を切り裂き
気がつくと宇宙
ただ
ただ
地上から逃れたかっただけの僕ら
辿り着いたのは生命を拒絶する世界
僕らの笑顔は真空のなかで
ぐしゃぐしゃに歪んだ
僕はふねから落ちた
青いそらで溺れるために
君を残して
ごめん
そらふねはいまどこ?
君はまだ
歪んだ笑顔のまま
宇宙を彷徨ってるの?
光の速さで何万年も掛かるかもだけど
君の笑顔が
いつかそらにいたころのように
にっこりと音を立てるよう
僕は溺れながら
今日も歌を歌っている
星が
君の八重歯にあった煌めきに見えるよ
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