mixiユーザー(id:26940262)

2018年04月17日19:17

142 view

独りで老いるのも悪くない ( 映画『ラッキー』)

最近、老齢男性による「良くない」事案が多い。
マイミクさんもおっしゃられていたが、お歳を召すほど頑固になり人を受け入れにくくなる傾向が強くなる。
すると周囲も「扱いにくいジジイだぜ。」というのを言葉にせずとも、敬して遠ざける態度に出したりする。
しかし爺さん連中のほとんどはプライドを守る神経が鋭敏なものだから、疎まれてると(思い込み)余計に気持ちがこじれて頑なになり、いよいよ孤立していく。
そこで極端に怒りっぽくなり、色々お騒がせしたりする。もっと不幸な場合は、ご近所付き合いなどの人的なセーフティネットを失ったまま、とつぜんの身体の不調がきっかけで孤独死・・・

老人問題について語るのも僭越だけど、自分もまた、加齢でそういう良くない兆候に陥りつつあるんじゃないか?と身のすくむ思いでいた矢先に観たのがこの映画でした。

フォト
メキシコ国境に近い、鄙びた町に住むお爺さん「ラッキー」。彼は身寄りの無い独り身。
瘦せぎすで、瞳は険しく、この人が顔を崩して笑うことがあるのか?と思うくらいの仏頂面。言葉遣いも荒らそう。どう見ても気難しそうな頑固爺である。先に述べた心配をされてもおかしくない。

ところがですね、映画を観ていくとこのラッキー爺さん、ぜんぜん寂しい老後とは思えないのですよ。
フォト
彼はいつも行くダイナーとバー、そしてメキシコ人女性の商店がある。そこでいつも「ハイ。ラッキー!」と挨拶してくれる。彼はぶすくれているけども、店の人は気にしない。彼のとっての「外の居場所」がそこにある。しかも、彼が立ちくらみやらで体調を崩したことが伝わるや、ダイナーのウエイトレスが彼を気遣ってお見舞いに来たりする。メキシコ人のおかみさんからは息子のパーティーに招かれる。(そこで素晴らしい歌を披露して、おおいに男を上げる。この映画の見せ場と言っていい。)
フォト

生活は規則正しく、身だしなみも守って、プライベートと外の時間とをうまく使い分けている。挙げ句の果て(?)には、かかりつけの医師が呆れるくらいに(笑)健康そのもの。

こんなに自由で幸せな独居老人もないと思う。独り身ではあっても心は孤独ではないのだ。
「独り」と「老い」を悠然と受け入れる姿がそこにある。たぶん、ラッキー爺さんは自分の人生が残り僅かなのをある時から自覚し、心を惑わせる欲も色気も抜け落ち、不敵な「解脱」を果たしたのかもしれない。一見偏屈そうでも、どこか透明で、えも言えない風格すら感じるのはその証ではないかと思うのだけど。

ああ、自分もラッキー爺さんみたいに歳を取れればな。・・・と憧れる自体まだ余計な自我が巣食っているようなもんだ。道はまだ遠い(笑)

今回は映画的な見所はさっぱり触れず、私的な感想に終始して失礼しましたあせあせ

フォト【予告編】http://youtu.be/627wFR0woik

〈 テアトル梅田で公開中 〉

でも、同じ「晩秋ストーリー」である若竹千佐子さんの『おらはおらでひとりいぐも』とこの映画が同時に世に出た自体、何か符合するものを考えさせられて仕方がないのです。
ラッキー爺さんも、桃子さんのように孤独と老いが身にしみて辛く感じる時もあったのだろうか。









19 6

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2018年04月>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930