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2018年04月09日14:40

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大地を跳ぶ魂の行方 ( 映画『馬を放つ』)

99年の『あの娘と自転車に乗って』、11年の『明かりを灯す人』のキルギスタンの監督、アクタン・アリム・クバトの新作です。 主演を務めるのも彼自身。

天山山脈の麓の村。ここの有力者が所有する高い競走馬が盗まれ、野に放たれていた事件が起こる。
犯人は「ケンタウロス」と呼ばれる男。かつては馬追いのような仕事に就いていたらしい。
彼は妻子と仲良く慎ましい生活を送る寡黙な男。そんな彼がどうしてそんなことを・・・
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遊牧民族の末裔であるキルギスの人にとっては、馬は民族の魂、あるいは神様のようなもの。
しかし肥大化した物質文明の波は、その伝統を蔑ろにし押し流そうとしている。前作『明かりを灯す人』でも、それまでの素朴なキルギスの心が失われていく哀しく切なる思いが込められていた。
世界中の誰もが、馬に抱く様々なロマンの一端もそこにあるのではないか。
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ただ、観ていて理解に苦しんだのは、あれだけ妻と息子を愛している(しかも妻は聾唖)ケンタウロスがどうして浮気しようとするのか? それを知って悲しむ妻。彼の心中は映画で明かされないが、ひょっとすると、この女性観は中央アジア人独特なのかな?と。
だけど、その戸惑いを吹き飛ばすように、父から息子に魂が託されるようなラストシーンが鮮烈だ。あたかも神話の結末を見るかのようで、これだけで救われるような気分ではあるのだけど。

フォト【予告編】http://youtu.be/3ZC5lFo2OUM

〈 テアトル梅田で公開中 〉

あの、チューリップハットのようなキルギス独特の民族帽。あるいは子供をモヒカン刈りにする風習。イスラム教の存在(実は正教徒も混在している)など、この国の習俗が垣間見られるのにも興味深いものがありました。
それにしてもアクタン監督。あらためて見たら自動車評論家の津々見友彦さんによく似ているなあ〜表情(嬉しい)
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右の方。ルマンなどテレビ番組での解説でお馴染みの方でした。今年で古希!

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