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2018年04月04日18:00

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「ニッポン国VS泉南石綿村」〜怒りの温度差

大阪泉南地区に密集していた石綿(アスベスト)工場がもたらした重篤な健康被害。元従業員や家族、近隣住民が国を相手に起こした訴訟のゆくえを8年もの年月をかけて追った215分の長尺ドキュメンタリー。裁判は長引き、老境をむかえた原告たちの身体はいやがおうにもむしばれていく…。監督は「ゆきゆきて、神軍」「全身小説家」の原一男。

アスベスト禍の歴史的背景の解説や、各原告がたどってきた道のり、そして現在のすがたを追った前半はやや単調に思えたが(もちろん大切な部分だし、その単調さが最後には効いてきたのだが)、訴訟が地裁から高裁・最高裁とすすみ、原告団が国を相手にすべく霞が関へ日参する後半からは展開がグッとダイナミックになって観る側は目が離せなくなる。

それは主要原告たちのキャラがあまりにも強烈で、時間の経過とともにそれぞれの個性が見事に際立ってくるから。怒りのなかにも泉州弁のせいか愛らしささえも感じさせ、たいする行政の側の対応が絵に描いたような“お役所仕事”に徹するので、ひょっとしてこれはドキュメンタリーではなくフィクションを観ているのではないだろうかという気持ちにさえなってくる。

一枚岩に見えたかのような原告たちにもやがて温度差が生じ、さらにそのいら立ちが弁護団とのいさかいにまで発展する。そしてこの訴訟が一応の決着を見せたときの原告たちの感慨はさまざま、それはどの怒りの矛の納めかたが正しかったのかを観る側に問いかけているかのよう。3時間35分、8年間の経過をていねいに追ったぶん、ズシリとした重さが残る力作です。

【私がかって勤めていた中堅専門商社は7割が繊維関係、残りの3割はマテリアル(産業資材)部門でした。かってその部門はアスベストの輸入で財を成し、昭和の末期における輸入のシェアは全国でも有数だった記憶があります。なので今回この作品にふれ、罪の意識とまではいきませんが、とても複雑な気持ちになったことは事実です】
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