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2018年01月25日09:17

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☆洋ちゃんの読観聴 No. 1252

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1252

辻村深月 「鏡の孤城」                       

直木賞受賞後の辻村作品はどれもこれも粒揃い。
本作品も傑作だ。

ジャンルとしてはファンタジー仕立て。著者得意の
学園ものだ。

中一の女の子、こころは不登校で家に閉じこもっている。
あるとき自室の鏡に手を伸ばすと、見知らぬ世界に
入り込んでしまった。そこは城のようなところ。

その城主らしき女の子は狼の仮面をかぶっている。
こころ以外にやってきたのは中1から中3の6人。
女の子はアキとフウカ。男の子はマサムネ、スバル、
ウレシノ、リオン。

この城には出入りは自由。ただし午後5時には
出ないといけないのがルール。ここで何をしても
かまわないことになっている。

オオカミによると、城内には「願いの部屋」があり、
入れれば願いがかなうという。ただし、願いの部屋に
入れるのは一人だけ。部屋に入るためには「願いの
鍵」が必要で、それを望む人は鍵を探さなければ
ならない。

今は5月だが、城は3月で閉城となる。期限までは
時間はある。7人の中学生たちは最初は鍵探しを
するが、次第にゲームをしたり、会話したり。最初は
打ち解けなかったが、次第にそれぞれの“事情”が
分かって来る・・・。

学校の中でのイジメがテーマだが、思春期の子ども
たちの微妙な心理がきめ細かく描写されていて、
読者はスムースに彼らの世界に導かれる。

もう一つ、ストーリーの展開の中で、本格ミステリー的な
“しかけ”が入っている。ヒントは散りばめられている
ので、ミステリー慣れした読者なら早い段階で気づく
かもしれない。

人に優しい著者の特長が十二分に表わされた秀作だ。

辻村深月はまだ30代の若さながら、既にかなりの
傑作を書いている。将来、宮部みゆきに匹敵するような
大作家になることだろう。

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