アキ・カウリスマキ最新作。貨物船のなかに身を隠し北欧の街ヘルシンキに流れ着いたシリアの青年カーリド。難民を受け入れるべき行政の対応はけっして温かいものではなく、野蛮なフィンランド国粋主義者たちからは暴力にさらされる。彼の願いは妹と再会すること。そんななかあるレストランのオーナーが手を差しのべ、彼はそのお店で働くことになるが…。
今回もまごうかたなきカウリスマキ調。撮影におけるテクニカルな処理に関して詳しいことはわからないけど、全体を通して放つ独特の色彩感覚は健在。スクリーンは終始やや暗めそしてすべてが書き割りのような奇妙な立体感。くわえて舞台劇を観るような雰囲気もあり、まるでスクリーンの外側で、次の出番にそなえて待機している登場人物が見えてくるかのよう。
もちろんそこはかとなくただよう、あくまでクスクス笑いレベルのユーモアも特有のもの。ただ、ある日本文化を強烈かつオチャラケにとりあつかった場面が後半に登場、日本人が観るぶんにはそこだけちょっと浮いたように感じてしまい、全体の流れをそこねてしまうのかもと思ったり。このてんまつ、フィンランドを始め他国のひとたちにはどう映ったのだろう。
静かなシーンが続くなか、不意打ちのように流れてくる音楽の数々も聴きどころかつ見どころ。そのほとんどが地元ミュージシャンによるシンプルかつ味わいある演奏場面。あれ、と思っているうちにバタバタと収束した感のあるラストの展開は意外だったけど、エンドロールのフィンランド語をながめているうち、どことなく温かい気持ちになれた作品でした。
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