mixiユーザー(id:11487068)

2017年12月30日10:35

89 view

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1245

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1245               

今村昌弘 「屍人荘の殺人」                   

本格ミステリー作家への登竜門である鮎川哲也賞の
受賞作で、さらに年末恒例の週刊文春のミステリーと
「このミステリーがすごい」で堂々の1位に選ばれた。

本格ミステリーの中でも王道と言える密室殺人もの。
密室殺人のトリックは古今東西の作家により掘り起こし
つくされ、もはや新しいトリックを創作するのは不可能と
言われる。実際、この著者が本書の中で登場人物に
語らせているように、既存のトリックの組み合わせ
しかないように思える。 

だが、本作品では過去のミステリーにはなかった
“仕掛け”がある。

ある大学の映画研究部と演劇部の部員が、OBの
親が持つペンションで合宿することになった。
これにペンションオーナーの息子を含む3人の
OB、さらに部外者の3人も宿泊することになった。

部外者の3人とはミステリー愛好会の先輩と
後輩、そして“名探偵”の女の子。この3人も
現役大学生だ。

大学准教授をリーダーとするグループが化学
兵器をつくりテロを起こす。場所はペンションから
近いロックフェスティバルの会場だ。多くの犠牲者が
出て、彼らは“ゾンビ”となる。

そして数百人のゾンビがペンションを取り囲み、
ペンションの宿泊者は外へ出られなくなってしまう。

そんな中で第1の殺人が生まれる。”名探偵”の
女子大生がホームズ役、愛好会の後輩がワトソン役
として、推理が進められる。

ペンションの構造も各部屋には鍵がかかるし、
ブロックごとに扉、それに非常口の扉、エレベーター
があり密室構造が設定されている。ペンションの
建物と合わせ、いわば二重の密室とも言える。

大変よくできたトリックが盛り込まれているし、
犯人の計画と予期せぬハプニングとの組み合わせも
面白く読める。

ただし、あえて言えば“ゾンビ”の存在が気になる。
ミステリーはSFやホラーではないという立場から
すれば“禁じ手”ということなのだが。


0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2017年12月>
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      

最近の日記