主演女優のロリータ・シャマが、あのイザベル・ユペールの娘だと知ってがぜん興味が出てきた。現代のフランス映画を代表する名女優の愛娘ってどんな女の子なんだろう。この驚きは、ことしみずみずしい魅力を放って登場した石橋静河が、原田美枝子の娘だと知ったときによく似ている。このふた組の日仏母娘模様、なにやら相似形のように思えてならないのだけど。
従業員募集の貼り紙を頼りに、27歳のマヴィ(ロリータ・シャマ)はカルチェ・ラタンの古書店を訪ねる。そこにいたのは堅物でへんくつな年老いた店主ジョルジュ(まあパリという街にはこの手のキャラがいくらでもいてそうだけど)。お互い孤独な日々を送っていた静かなふたりの距離ははたして縮まるのか。やがて少しずつジョルジュの過去が明らかになり…。
“予感”ばかりを積み重ねた作品とでも言えばいいか。思わせぶりなカットとセリフそしてモノローグの連続、“何かが起こりそうでさほどたいしたことは起きない”というフランス小品映画の専売特許はここでも踏襲、オープニング/エンドロールのフォントや色合い、場面転換の効果やちょっとしたアングルからは60's/70'sのフランス映画の手ざわりを感じたりも。
監督は「ベルヴィル・トーキョー」(私にとってのパリにおける隠し玉的な街ベルヴィル!)のエリーズ・ジラールという女性。小さなカフェの片隅や夕暮れどきのセーヌ川沿いそして街路樹が色づくカルチェ・ラタン、美しく切り取ったシーンはまるで絵画のよう。日仏女優母娘対決はまず互角の勝負といったところ、今後がますます楽しみになってきました。
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