★洋ちゃんの読観聴 No. 1234
映画 「ノクターナル・アニマル」
これは上質のサスペンス映画だ。「ノクターナル」
(nocturnal)とは「夜行性」という意味だが、主人公は
夜になると頭がさえるようだ。
監督はトム・フォード。僕は映画館に行く直前まで
トム・フォードが世界的なファッションデザイナーと
同一人物だと気がつかなかった。トムもフォードも
平凡な名前だからだ。
ファッションに関心がある人なら知らない人がいない
トム・フォード。彼がメガフォンを握るなんて。(実は
本作は彼の監督2作目で、僕はデビュー作を見逃して
いる。)でも考えてみたら作家や歌手で映画監督を
した人は少なくないし、ファッションだって広義には
アートだから不思議でもない。
この映画は3つのパートからできている。アート・
ギャラリーのオーナーとして成功しているスーザン
(エイミー・アダムス)は夫とロサンゼルスの大邸宅に
住んでいる。誰もがうらやむセレブなのだが、不眠症に
悩まされ、また夫との関係も良くない。そんな彼女に
元夫のエドワード(ジェイク・ギレンホール)から小包
が届く。売れない作家である彼の最新作のゲラだ。
この小説が言わば劇中劇。妻と娘とドライブ中の
トニー(ギレンホールの二役)は3人の男に因縁を
つけられ、車を降ろさせられた上に妻と娘を連れ去られ
てしまう。そして妻と娘の遺体が見つかる。警察と
ともに犯人を追う。
3つ目の話はスーザンと最初の夫エドワードとの
出会いと結婚生活だ。
悪漢たちに抵抗できないトニーと、やはり気の弱い
エドワードの言動がダブる。エドワードの小説を
読み進めるうちに、トニーをエドワードと見立てる
スーザン。この小説はどのようなエンディングが待って
いるのだろうか?
そしてエドワードから久しぶりに合いたいと連絡が
入る。ひょっとしたら彼とよりを戻すことができるかも
・・・。待ち合わせのレストランに向うスーザン。
映画のラストのスーザンの表情に注目されたし。
エイミー・アダムスの代表作の一つになるだろう。
派手さはないがスーザンのファッション(トム・
フォード以外のブランドもあり)も目を楽しませて
くれる。
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