最強の女スパイ、ロレーン・ブロートン。ベルリンの壁崩壊直前の1989年、MI6諜報員である彼女は最高機密たる極秘リスト奪還、そして二重スパイを見つけだすというミッションを課せられる。とてつもなく強靭そしてどこまでも美しい肉体を惜しげもなくさらすのはシャーリーズ・セロン。各国スパイが入り乱れるので、人物相関図をあらかじめながめておいたほうがいいかも。
このヴィジュアルにあるような、やや青みがかったダークな色合いが全編を貫く基本トーン。ひょっとしたら欧米のひとが抱いている、冷戦構造末期の東西ドイツのイメージってこういう色調なのかも。そういえばこの時期の日本といえばバブル絶頂期、まったく正反対にきらびやかさばかりがあふれていたなあなんてことを思った。
そのダークな色合いをより強く感じさせてくれるのが、80年代やや硬派寄りなヒットナンバー。バックでただ流れているだけではなく、各シーン各カットと実にうまくからみ合っていてお見事。冒頭2曲目のD・ボウイ楽曲はもともと別の映画の主題歌、おそらく何らかの意図があってのことか。とにかくどの曲も絶妙のタイミングでイントロが流れ、そのたびにニンマリ。
おそらく少林寺拳法をベースにしていると思われる、ロレーンのアクションはすさまじいのひと言。物語が終盤に入ったあたり、屋内での格闘シーンでの長回しは緊張感あふれるこの物語最大の見せ場。とにかくアクションシーンはどれもこれもなまなましく、観ているこちらにまでけっこうな痛みをともなうものばかり。それでも心地よい疲れの残る快作となりました。
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