ジム・ジャームッシュ最新作。ニュージャージー州・パターソンに住み、詩作と愛犬の散歩と行きつけのバーと、そしてなによりも妻を愛するバス運転手の代わり映えしない一週間。作品全体をおおういかにも淡々とした感触がいかにもジャームッシュ。街並みを背にした登場人物に歩道の上をずっと歩かせ、真横から平行移動で追っていくというお得意のアングルもきっちり健在。
バス運転手を演じるのはアダム・ドライバー。ふつうこういう設定の物語ならば、もう少し人生に疲れた雰囲気の男か、あるいは内に狂気を秘めどこかでそれが破たんするようなキャラを主人公に持ってくるんだけど、あいかわらず間のびした顔で穏やかな表情を見せる彼をキャスティングするという意外性が面白い(あるいは単に“運転手=ドライバー”というシャレか⁈)。
そんな彼と対をなすように、微妙にエキセントリックな行動を重ねる妻ローラや屈指の名演愛犬ブルドッグのマーヴィンをはじめ、彼をとりまく街のひとびとの少しだけヘンな感じも、時間の流れとともにだんだんと愛おしくなってくるから不思議。それにしても実際これがひとりの男のわずか一週間だとしたら、けっこういろんなことが起きている部類に入ると思うけどなあ。
永瀬正敏が日本人詩人役としてキャスティングされ、物語の終盤に登場すると知ったときには、これはいかほどのスパイスを物語に注入するのかとわくわく。まあそのあたりは実際に観ていただくとして、彼が自分の出身地を言った後すぐの退場、この一連の流れがあるものを想起させて思わずニンマリ。まさかジャームッシュがなあ…う〜ん、ここはネタバレしたくてたまらない!
ログインしてコメントを確認・投稿する