世界最大のファーストフードチェーンを構築した野心と情熱の男、レイ・クロックの半生。原題はシンプルに「The Founder」。ただ、ここには深い意味があり、実際にその革新的かつ合理的な調理・販売システムを確立し1号店をオープンさせたのはマクドナルド兄弟。本当の“創業者”はどちらなのだろうか、この問いかけを大きなテーマとして物語は進んでいく。
レイを演じるのはマイケル・キートン、やっぱりこのひとはシリアス顔の「バットマン」や「バードマン」よりも、“勢いに乗じて調子づく男”みたいなキャラのほうがよく似あう。スタンダップ・コメディ出身、若いころはけっこうオチャラケ役ばっかりだったし。その奥様役にはローラ・ダーン、このひとはある意味反対に"すべてに疲れ切った女性”を演じると天下一品だ。
レイがマクドナルド兄弟に接近し、ハンバーガーチェーンを拡大していくまでの前半は、まさにわれわれ日本人の生活にもすっかり溶けこんでいるマクドの“はじめて物語”、ワクワクとした気分が続く。ところがレイの野心が行き過ぎ兄弟との確執が深まる後半は、なにやら“資本主義実践講座”のような匂いがただよい重苦しい感触が次第にふくらんでいく。
確執のドロドロはマックシェイクのごとし、そして甘さはすこしもなく苦味だけがあとを引く作品かも。もちろんこの後味にマクド本体が協賛するわけもなく、エンドロールにも最後までMのマークは出てこなかった。むしろよく商標等の使用許可をあたえたもんだと。まあ太っ腹を見せることがイメージアップにつながると、あそこまでの巨大企業なら考えているのかもしれないけど。
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