ロシア人監督作品「太陽」で昭和天皇・皇后両陛下を演じたイッセー尾形・桃井かおりが、今回はラトビア=日本共同制作作品にて再び夫婦役。阪神大震災ですべてを失ったケイコ(桃井かおり)は、ラトビアの首都リガで開催される着物ショーに参加する。するとそこには長らく行方不明となっていた夫(イッセー尾形)のすがたが。はたしてこれは幻影なのかそれとも…。
ズバリ桃井かおりの映画。過去いくつかの欧米作品に出演している彼女だけど、どこに顔を出してもそこには“桃井かおり”が。英語のセリフさえあのまんまの口調、通じているのかと不安になるくらい。今回はいままで以上に桃井かおりワールド満開(英語はしゃべらないけど)、いや今回ばかりはあまりにも彼女の演技力に頼りすぎた作品なのではと言いたくなる全開ぶりだ。
英題が「MAGIC KIMONO」。日本の伝統文化が欧米作品によって必要以上にヨイショされ、こちらがややくすぐったくなる感触は、やはりこの作品でも顕在していて、夫婦のストレートな物言いも、あらかじめ用意された原語のセリフを強引に日本語に直訳したようなぎこちなさ、そこをこの芸達者なふたりがアドリブでカバーしているような印象があった。
ケイコがラトビアのTV番組に出演したり、現地通訳とのあいだの会話でギクシャクしたりするあたりは、“逆ロスト・イン・トランスレーション”的な趣きも。そして夫のありようはどこか“ゴースト”的でもあり。美しいリガの街だけでなく、ときおりはさまれる神戸の街も浮遊感にあふれ、現実と幻覚のはざまをさまようような、終始夢うつつな感覚につつまれた奇妙な作品だった。
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