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2017年05月28日11:04

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ドレープにうっとり! 「快慶〜日本人を魅了した仏のかたち」展

奈良国立博物館で開催の「快慶」展の日程を調べたら、もうすぐ終了してしまう!
ということで思い立って急ぎ、見に行くことに。

快慶、といえば「運慶」と並び称される仏師。
鎌倉彫刻様式の完成に重要な役割を果たした、日本史の教科書にも必ず出てくる人物だ。

彼は熱心な阿弥陀仏信仰を持っていたらしく、仏師として高い技術の腕を振るう一方、
その信仰を具現したかのような、格調高く、清廉な、阿弥陀如来立像をはじめとするあまたの仏像を世に送り出し、そのスタイルが後世に受け継がれてゆく。

なんといっても、感嘆してしまうのは、代表作の阿弥陀如来像に見られる、「ひだひだ」の表現。
袈裟、法衣のゆるやかなたわみ、流れるような曲線、ファッション用語でいうところの、
「ドレープ」である。

あれには快感さえ覚え、見ているだけでウットリ、である。
いや、仏像ですから、みほとけの表情とかにありがたさを感じねばならんのかもしれないけど、
どうしてもわたしは「ひだひだ」曲線に目が吸い寄せられるのだ。

当然、堅い素材で制作しているのに(木造で漆箔、という作り方が多い)、まるでそこだけふわりと風でたわみそうなやわらかさに満ち、ほんとうに堅いんだろうか、と触ってみたくなる(触っちゃイカンが・・)。

鑑賞しながら、仏像にかけられている衣にはちゃんとそれぞれ名称があって、
「袈裟」も「法衣」も「覆肩衣(ふっけんえ)」も「裙(くん)」も違うのだと、知りましたよ。

快慶は、この衣のたわみかたの表現方法も、時代ごとに異なり、
だんだんと、わざとたるませてべろーん、とはみださせてフクザツな形状を表現するスタイルにしたり、形状でも制作年代がわかるのだそうだ。

いやはや、もう見る仏像見る仏像、どれもなんだかありがたくて、拝み倒したいぐらいである。
修学旅行で、京都・奈良の仏像を見せられた時は、まったく良さがわからずに退屈しまくっていたことを思えば幾星霜。
仏像のひだひだに萌えるようになるとは(^^;
人生とは面白い。

ただ、どうしても阿弥陀如来とか釈迦如来の像は、表情に乏しいのだ。
その点、金剛神とか広目天とか多聞天だと、かっと目を見開き、オーバーなくらいの表情が見ていてわくわくする。
「深沙大将(じんじゃだいしょう)立像」(和歌山・金剛峯寺所蔵)などは、髪は逆立ち、髑髏を首に飾り、腕にはヘビが巻き付き、裾にはキバを持った象の顔、おまけにお腹には人面相のようにもうひとつ人の顔が浮かび上がっていて、足元には逆巻く波しぶき、ともうこれだけでスペクタクル!

見終わった後は、現在、奈良県庁に出向中の夫と待ちあわせてランチ。
夫と、興福寺そばの猿沢池のそばを歩く。

昔々、夫の弟が弓道でインターハイに出場が決まり、保護者代わりに、大学生だった夫が夏休み、奈良大会だったので、猿沢池のほとりのホテルに弟と泊まったらしいのだ(高校の先生は多忙とかで、兄である夫に引率を頼んだのだとか・・)。

「あれから38年たって、まさかこの近くで働いてるなんて、そのときには夢にも思わなかったね」、とわたし。
「うん、何が起こるかわからないから、人生は面白い」。

※画像は、博物館に掲示の垂れ幕と、奈良公園の鹿。
秋になると、この角は切られてしまいます。
(5月26日、奈良国立博物館)
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