リー(ケイシー・アフレック)は家屋の修繕ならなんでも請け負う寡黙な“便利屋”。いや寡黙という表現はあまりにも彼に好意的か。そう、必要なときに必要なことを口にすることがめったになく、どうでもいいときに余計なことをしゃべって周囲と軋轢を生むタイプ、いやいや口よりも先に手が出てしまいその軋轢をさらに大きくしてしまうのが今回の主人公だ。
彼の兄の死から物語は始まり、そこにいたるまでの彼自身そして彼の家族とのありようを、ときにはややイラッとするくらいにゆっくりと、時をさかのぼりつつひもといていく。たえず挟まれるのは“バイ・ザ・シー”、ときには雪のチラつく寒々とした海岸沿いの光景だ(日本人であれば誰しも日本海側あるいは北日本の海辺の冬景色を連想するだろう)。
やがて彼は16歳の甥パトリック(ルーカス・ヘッジス〜オスカー助演男優賞にノミネートされた好演!)と向き合う日々を過ごすことに。ふたりの間に生じるぎこちない感触は、単なる世代の違いをこえたどこかいびつなもの。ただパトリックの登場以降はほのかなユーモアがときおり顔を出し、それまでざらついていた物語にわずかながら潤いが生じてくる。
…と、ストーリーをじっくりと記していく以外に、この作品の魅力をうまく伝える方法があるのだろうかと思ってしまう、派手なところのいっさいない静かな感動の人間ドラマだった。一件落着に思われるラストシーンも、心に痛みをかかえたこの男の物語がこのまま平穏に収まるわけがないとどこか感じてしまう、何とも言えない苦い余韻が残ったというのが正直な感想です。
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