先日、東映チャンネルでオンエアされた、梅宮辰夫主演「ポルノの帝王 失神トルコ風呂」を観ました。
・・・これがですねえ、意外に「マトモ」な映画なんですわ。
もちろん設定やストーリーはマトモじゃござんせん。無茶苦茶もいいトコです。貧しい炭坑夫の息子だった辰兄いが持ち前の度胸とデカ◯ラを武器にのし上がり、トルコ風呂経営でカネを稼いで貧乏人を助けるための病院作りに奔走するという展開には、もう、脱力するやら失笑するやら。
ポリティカル・コレクトネスの観点からも問題アリアリの本作(タイトルからして、すでにアウトですわな)ですが、製作当時(1972年)の様々な社会事象、特に公害問題を随所にすべりこませ、高度経済成長下で犠牲を強いられている人々の存在に触れているあたり、なかなか骨の太いところがあったりするのですよ。
ちなみに本作の脚本は、傑作「新幹線大爆破」の小野竜之介が書いてます。
びっくりしたのは、大学病院の悪徳理事長(渡辺文雄!)が吐く、この台詞。
「私はねえ、かつて軍医をやっていた頃、戦地でずいぶんと土人の生体解剖をやったものさ。・・・人間の内蔵というのはキミ、実に美しいもんだよ」
あの時代を実際に生き、時代の匂いを嗅いだ人でなければ書けない台詞だな、と思いましたね。たぶん昔は、そういう行為に及んだ人々が、罪の意識も良心の呵責も何もいっさい感じないまま、内地で自慢げに話してたんじゃないですかね。
安上がりなプログラム・ピクチャーの中にも、時としてこういう「時代の暗部」が潜り込んでしまう。
映画というメディアは凄いな、と、改めて感じました。
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