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2017年03月31日15:30

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「ムーンライト」〜実にシリアスな月光

本年度のアカデミー作品賞を受賞、マイアミの貧困地域で人生を模索する黒人男性の物語。全体が3部構成になっていて、幼年期・少年期・成人期の主人公シャロンの成長をかなり抑制されたタッチで描いていく。黒人ソサエティを舞台にした作品と聞くと、ついつい社会問題的な切り口を想像しがちだけど、ここでは実にパーソナルな内容だけが淡々と語られている。

映像美に注目とのふれこみだったが、ときにはセオリーを逸脱した生々しいカメラワークのほうにむしろ引きつけられた。そして退屈をおぼえるほど妙な沈黙が流れたり、あるいは逆に会話がかぶったりするセリフのやりとりも実にリアル。さらにシャロン役時代ごとの3人ともに無名の俳優がキャスティングされていることも生々しさを倍加させることに貢献していたように思う。 

なので007シリーズその他、娯楽大作でおなじみの女優ナオミ・ハリスの顔を見かけると「ああ、これは映画だったな」と妙にホッとしてしまう。これって3年前のやはり人種問題をあつかったオスカー作品「それでも夜は明ける」(こちらは豪華キャストだったけど)におけるブラッド・ピットと同じ効果かなと思ったら、なんと今回の作品の製作総指揮もブラッド・ピットだった。

「ラ・ラ・ランド」とオスカーを競ったせいか、同じような起伏に富んだ物語をもとめてスクリーンを見つめたひとたちは、あまりにも淡々と描かれた静かな物語に終演後しばしあぜんとした様子。アメリカ映画の懐の深さと言ってしまえばそれまでだけど、あの授賞式のゴタゴタは両作品が水と油、映像表現の両極であると世界に伝えたハプニングかもしれないなと思った次第です。
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