トム・ハンクス。昨年は「ブリッジ・オブ・スパイ」「ハドソン川の奇跡」「インフェルノ」とスケールの大きな作品ばかり立て続けに主演。ところがそれらのあいだはさまれて、もうひとつホッコリとした小品が待機していた。サウジアラビア国王のもとに、最先端の映像装置《3Dホログラム》を売りこみに行くIT業界のエリートビジネスマン。監督はトム・ティクヴァ。
いきなりあるバンドのある曲を歌いだすトム・ハンクス。おっ、この曲でくるんかいと、冒頭わずか数十秒ながらとりあえずつかみはOK。異文化に接した人間が、時の流れや人との距離感にとまどい、ままならない日々にいらだちを感じる〜過去に何度となく観てきた設定ながら物語への期待はふくらんだ。ところがこのあと本題に入ってからのテンポそしてユーモア感覚がいまひとつ。
砂漠のなかをクルマで移動するシーンが何度もあり(カーステから流れる音楽も興味深い)、その先にはオアシスがあるのかそれともそれは蜃気楼なのか、というサウジアラビアのスケールの大きさそしてその特有の文化は十分に味わえる(実際のロケはどこだかわからないけれど)。まあそれらを強引にからませたような、とってつけたような感じも正直あったんだけど。
21世紀のおとぎ話と割り切ってしまえばラストの着地にも納得はいく。ただ話の軸足をいったいどこに置いたらいいのか、観ているほうがとまどったままですべてが収束してしまったような気がしないでもない。監督が「ラン・ローラ・ラン」「クラウドアトラス」のひとだと知り、今回は前者のテンポの良さより後者のまとまりのなさを選んでしまったなという印象を抱いた作品でした。
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