何年か前のアジアン映画祭で上映されるも観のがしたままだったドキュメンタリー。侯孝賢(ホウ・シャオシェン)やエドワード・ヤン等、気鋭の監督を中心に1980年代の台湾映画界がもたらしたムーブメント、新電影(ニューシネマ)を追った109分。世界の映画人へのインタビュー、取材は東京・北京・香港だけでなく、パリ・ロッテルダム・ブエノスアイレスにまでおよんでいた。
「非情城市」「牯嶺街少年殺人事件」…代表作品のワンシーンがたてつづけに流れる。ストーリーまではちゃんと覚えていないけど、思っていたより多くの秀作を観ていたと気がつく。この時代の台湾映画といえば、まずあの作品のあのシーンだろうなと思っていたら、きっちりとその場面が出てきたから思わずニヤリ。何度観ても微笑ましく温かい気持ちになる一場面。
是枝裕和・黒沢清・浅野忠信・佐藤忠男…誰もが台湾ニューシネマの素晴らしさを語る、日本の映画関係者へのインタビューには思っていた以上の時間が割かれていた。台湾での生活を経験している父親の影響があるのかどうか、是枝監督の作品には、等身大の人間模様を撮るという点において、明らかにこの時代の台湾映画の匂いがあると思う。
フランスや中国の映画人同士が対立する意見を真正面から交わしていたのは興味深かった。日本の映画人同士ならおそらく(表向きには)ああならないだろう。どこの国でも映画作品に勢いがある時代があるとしたら、台湾や中国のそれは80年代、香港は70年代で韓国は00年代。日本はやっぱり5〜60年代ってことになるだろうか、なんてことを考えてしまった。
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