平成の“肝っ玉かあさん”か、それとも銭湯を舞台にした物語だから“時間ですよ”か。いやいやそんな引用がとても軽々しくイージーに思える、深くて強くて優しいそして湯を沸かすほど熱い、余命2ヶ月の宣告を受けた母の愛。したたかな女性・双葉を演じた宮沢りえが、いままでの闘病ものとはまったく違った魅力をもたらす、まったくのオリジナル脚本による感動作。
誰の眼を通して見ても、これはまぎれもない母と娘の物語。そう、かりに余命2か月の闘病という“時限装置”がなくても、十分に深い愛情にあふれた作品として成立するストーリー展開。どうしてあんなにうまく紡ぎ出されるのか、母・双葉の娘を思いやる言葉のひとつひとつがとても力強くそして優しく愛情にあふれ、これは宮沢りえにとって新境地と言える役柄かも。
ダメ親父ぶりを随所で発揮するオダギリジョーはあくまで周辺部分(でもよくよく考えたらこの男のダメぶりが、物語を重層的にした要因をすべて生み出しているのだが…)、それよりも大人と少女のはざま、微妙な年ごろの女子高生を実に巧みに演じた娘・安澄役の杉咲花が素晴らしい(実際は19歳)。今後がとても楽しみな女優の出現と言っていいかも。
最初のうちはとってつけたような感じがした登場人物や演出も、最後にはきっちりと物語にはめ込まれてしまうのが実に巧くできてるなあと感銘しきり。中盤から終盤にかけていくつか泣かせどころがしっかり用意されているのもいい(場内すすり泣き多発)。そして思いきった着地を見せたラストシーンの展開、中野量太監督もなかなかやるやんと思ったのです。
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