ボウイ自身が脚本を手がけたミュージカル「ラザルス」のオリジナル・キャストによる録音をDics1、「★」収録のタイトル曲そしてボウイ最後のレコーディング時の未発表音源3曲をDisc2に収めた2枚組。このところのボウイ関連リリース・出版ラッシュは玉石混交でちょっとウンザリしていたけど、未発表新曲3曲入りという誘惑に勝てるわけがない。
Disc1全19曲中のほとんどが従来のボウイ楽曲。そのいかにもミュージカル然としたアレンジの妙にはボウイファンならずとも思わずニヤリ。これはミュージカルタッチのメロディを持つマスターピースばかりをあえて選んだのかなという気がしないでもない。そしてボウイ楽曲以外いくつかの選曲が実に興味深く、そのあたりの経緯に想像力はいろいろとふくらむばかり。
さて、未発表3曲。どれもこれも確固たる信念に満ちたパワフルな出来ばえ。「ザ・ネクスト・デイ」以降のボウイに一貫しているたくましさと言えばいいのか、個人的には「★」よりもむしろ「ザ・ネクスト・デイ」に近いものを感じたんだけどどうだろう。それにしても病と闘いながらもここまで力強さやたくましさを表現するボウイはやっぱりスゴい。
そう、前作が遺したものではなく、この3曲が新たなる展開の序章、すなわち新作のプレリリースみたいなものだったらどんなに幸せなことかと思うけど、それは永遠にかなわないこと。これからはこういうふうに才気の欠片みたいなものを少しずつ味わうことになるのかなと思うとそれはやっぱりつらい。なんだかんだ言ってるうちにあの日から一年のときがやってきます。
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