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2016年10月20日14:00

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☆洋ちゃんの読観聴 No. 1166

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1166               

レイチェル・ジョイス 「ハロルド・フライの思いもよらない旅」 

なにげなく図書館で手にとった本だったが、読み応えが
あった。著者は英国人の女性だ。

ストーリーはシンプル。イングランドの南西部に住む
ハロルドは妻モーリーンとの2人暮らし。ハロルドは65歳で
既にリタイヤしている。

そんな彼に突然、元職場の同僚だった女性から手紙が
きた。彼女とは20年も音信不通だ。それほど親しくなかった
と思うが、なぜ手紙が来たのか。彼女はガンで余命いくばくも
ないという。ハロルドは返事をしたため郵便ポストに向かうが、
気が変わって彼女の所に行くことを決める。彼女がいる
病院はイングランドの北端だ。

このハロルドという男。すこぶる平凡である。仕事でこれと
いった業績をあげたこともない。旅行もそんなに遠くに
行ったこともない。普段運動をしていない彼が、なんと
1,000kmも歩いて元同僚に会おうとするのだ。

旅先でさまざまな人たちと出会う。そうした人たちの親切、
生活の苦悩などをハロルドは学ぶ。人は皆それぞれの
人生を歩んでいるのだ。

そして、ハロルドは不仲になっている妻モーリーン、
長年会っていない一人息子のデイヴィッド、既に他界
している両親らのことを思う。旅とは、日常生活から
離れているが、それだからこそ日ごろの生活を反芻
したり、これまでの自分の人生を振り返る機会になる。

遠く離れて旅するハロルドと自宅に残る妻モーリーンが
それぞれを想う心の変化が丹念に描かれる。
また、病床の元同僚とハロルドの過去の関係も実は
それほど希薄でなかったことも明らかにされていく。
さらに息子の消息も・・・。

この小説のもうひとつの魅力は英国の美しい田園
風景だ。たくさんの花々が登場する。車や列車での
移動でなく、歩くことならではの発見を主人公はし、
生きる証を感じるのだ。

表紙の裏にハロルドがたどった町が分かるよう
英国の地図が描かれている。

「町はヨーロッパ、田舎はイギリス」という言葉が
ある。イギリスの田園は美しいのだ、僕はその
ごく一端しか知らないのだけれど。

ああ、イギリスに行きたい、田園地帯を歩きたい。


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