昔の日本映画なんて、古くさくって野暮ったくて、なんかタルそう・・・、などと思っているそこのアナタ!
中平康脚本・監督の昭和35年作「あした晴れるか」を御覧なさい!
こんなにオシャレで軽快で愉快痛快なラブコメ、今の日本映画じゃまず拝めませんよ!
先日、神保町シアターで上映されたんですが、あまりの人気で入場できず悔しい思いをしてたところ、CSでオンエアしてくれたんで有り難く録画して鑑賞。あまりの楽しさにひっくり返ってしまいましたな。
新進気鋭のカメラマン・三杉耕平はフィルム会社の宣伝部から仕事を依頼され、部員の八巻みはるという女性社員の監督下で働くことに。
ところがこのみはるちゃん、やたらと早口で頭でっかちで気が強くて、しかも酒飲みのお嬢様。下町育ちの耕平と事あるごとに対立します。おまけにバーのホステスのセツ子がひょんなことから耕平に急接近し・・・。
とまあ、こんな具合で「喧嘩ばかりする男女」「三角関係」という超王道のラブコメ的展開なのが前半。
ところがどっこい、後半になると物語は端倪すべからざる方向に。まさかこんな話になるとはなあ。いや、驚きました。
主演の石原裕次郎はアクションものや文芸ものだけでなく、実はこういうコメディもやれる人だったんですよね。よくアメリカ映画のラブコメに登場する純朴な好青年という感じ。こういう方面の才能をもっと生かすべきでしたな。
さらなる驚きは、みはるを演じた芦川いづみ。
この人、どこからどう見ても「幸薄い、はかなげな美人」という風情なんですが、どうしてどうして、コメディエンヌとしても超一流だったのですね。
いつも突っ張ってばかりいて、可愛い顔を隠すために伊達眼鏡をかけているキュートなお嬢様社員を溌剌と演じておりました。つるんとしたおでこ丸出しで、黒ぶち眼鏡をきゅっと上げる仕草なんて、本当に素敵!
映画とは関係ありませんが、芦川いづみって実は凄いスポーツウーマンなんだそうで。
あの長野オリンピックの男子大滑降コースをスキーでゴール地点まで滑り下りたことがあるんだとか(私も同コースを滑ったことがありますが、もう、半ベソ状態でしたよ)。
人って、見かけによらないものですね。
とにかくこの「あした晴れるか」、芦川いづみの魅力全開のゴキゲンな逸品であります。
若い人に、ぜひ観てもらいたいなあ。
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