《角川映画祭》ラインナップ29作品のうちのひとつ。他にも観たいのはいくらでもあったけど、時間の都合でこの1本だけに。夏樹静子の同名原作小説を劇中の舞台場面におりこみ、女優として生きていくこと、演じるということを複眼的(=W)に描いていく。20歳になったばかりの薬師丸ひろ子にとっても女優としてワンステップアップした作品。
そう、女優を目指す劇団研究生役の薬師丸ひろ子だけでなく、大女優役の三田佳子、厳格な演出家役の蜷川幸雄、ライバル女優役の高木美保(新人)、そして芸能リポーター役の梨元勝にいたるまで、それぞれが地のままの役柄を演じ、観ている側がいつのまにか虚と実のはざまをさまよってしまう、このWの仕掛けこそがこの作品の最大の魅力だと思う。
前半部分は世良公則と三田村邦彦のあまりのクサさに、こちらが気はずかしくなったりもするけれど、三田佳子が前面に出てくるあたりから物語はぐっと深みと味わいを増す。カーテンコールの場面そしてラストシーンのストップモーション、このふたつが対になっていることは誰が観ても明らか、そこに女優・薬師丸ひろ子の成長を見て、やっぱり我々は感動してしまうのだ。
そして“女が男と寝ること”というのがこの作品をつらぬく裏テーマなのでは。さすがにリアルな性描写は少ないけど、セリフのなかではさまざまな登場人物によって、けっこうあけすけにそのことが語られている。いまとなってはストレートすぎるのではなんて思ったのだけど、当時ティーンエイジャーだった女子、すなわちいまの40代女性はこの裏テーマをどう受け止めたのだろうか。
ログインしてコメントを確認・投稿する