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2016年06月12日12:40

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☆洋ちゃんの読観聴 No. 1140

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1140              

ヨハン・テオリン 「夏の凍える舟」                

スウェーデンの小さな島を舞台に、元船長の老人が
探偵役として活躍するシリーズ。秋に始まり、冬、春
そして本作品の冬が最後で完結となる。

過去の3作は、人が少ない寒村ということもあり、
さびしい雰囲気の中でのストーリー進行だったが、
今回は夏。バカンスで国内外からやってくる客が
多く、雰囲気が違う。

この小さな村でのお金持ちは、リゾート施設の
オーナーであるクロス一家だ。長女・長男・次男と
彼らの息子たちも夏の間このリゾートで過ごす。

このにぎやかなリゾート地に一人外国から老人が
やってくる。地元の密売などを染めた人間に接触し、
大型船を乗っ取り爆破する。船は跡形なく海底に
沈む。

誰も見ていないはずの犯行だったが、クロス家の
少年が犯行直前に舟に乗り込み、運よく逃げ出した。

この犯人は何の目的で犯行におよんだのか? 
話は1930年という大昔に始まる・・・。

これから読む人のためにネタはできるだけ説明
したくないが、作品の前半部分で、この話の骨格は
復讐劇であることが示されるので、このことだけは
言ってもかまわないだろう。

原作は2013年で、話の設定は20世紀が終わろうと
している頃だが、20世紀前半における欧州の暗い
時代のことが引き金となっている。

僕は数々の優れた北欧ミステリーを読んできたが、
このシリーズの何が優れているかと聞かれれば、
叙情性にあると思う。小さな村の穏やかな時の
流れと風景の移り変わり。そして主人公の
ドラマチックではないけれど静かな、しかしぶれない
人生。人と出会い人と別れる人生の一こま一こまを
受け入れていく強さと優しさ。

本好きの人みんなに勧めたいシリーズだ。

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