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2016年05月13日14:00

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☆洋ちゃんの読観聴 No. 1136

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1136             

伊坂幸太郎 「ガソリン生活」                  

この作家の作品は駄作がない。どれもこれも一定の
水準以上のものばかりだ。本作品は2013年の出版だが、
最近文庫化されたもの。

一風変わっているのは、自動車が人格を持って語り部に
なっていること。自動車ならではの視線があり、また
自動車どうしが友人・知人として情報交換したりする
のがユニーク。

これは仙台に住む家族がさまざまな事件に遭遇し、
家族どうしや知り合った人たちと協力して事件を解決
していく話だ。

望月一家は、母の郁子(40代)・長男の良夫(大学生)・
長女のまどか(高校生)・次男の亨(小学生)の4人家族。
彼らの所有する車が緑のデミオである。良夫と亨が
愛車で出かけたときに偶然に芸能人の女性、荒木翠と
出会い、彼女を車に乗せる。だが、彼女と別れた後に
は事故死してしまう。どうやら既婚者である荒木は不倫
相手と同乗していたらしい。彼女らを追っかけていた
雑誌記者の玉野は事故の真相について何かを知って
いるらしく、良夫と亨に接触してくる。

望月家の長女まどかは交際している男性がいるが、
その男性は何かのトラブルに巻き込まれているらしい。
また、次男の亨は彼の友人がいじめにあっており、
まきこまれていく。

このほかATM強盗事件など、さまざまな事件や
事故に彼らは出くわす。

登場人物の中では何と言っても亨の存在が光る。
生意気だが大変利発であり、大人顔負けの名推理を
発揮する。

いろいろな事件は実は微妙に相互に関係していて、
それらが最後に大同団結するのは見事。将棋で
言えば、駒台を空っぽにして終了させるということ。

陰惨なことはまったくないが、立派なミステリー作品だ。


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