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2016年05月03日10:26

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☆洋ちゃんの読観聴 No. 1133

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1133               

小野寺史宜 「ROCKER ロッカー」          

前回紹介した小説に感動したので、同じ著者の
別の作品を探してみた。本書以前にどこかの
文学賞を受賞した短編があるらしいが、本書が
単行本としてはデビュー作となる。

「ひりつく夜の音」は、著者と同じくらいの年齢の
中年男性が主人公だったが、今回の主人公は
女子高生だ。

両親が離婚しており母と二人暮らしのミミは、
親友が理不尽な事件で亡くなったことで、人と
付き合うことを拒絶している。学校には登校して
いるが留年しない程度に適当にさぼっている。

そんな彼女が行きつける所がある。いとこの
エイのアパートだ。エイは彼女より10歳以上年上の
27歳、独身。職業は高校教師だが、セミプロの
ロック・ギタリストでもある。

ミミを好きになるストーカー高校生が現われ、
ミミはその高校生・元希をエイに紹介すると、
元希はエイにギターの弟子入りを志願する。
エイが断るが、元希は独学を始める。

エイのところに学生時代の女友達がやってくる。
彼女の教え子から付き合ってくれと言われ、
困っているそうだ。その男、未知彦にエイと
ミミは会い、彼女をあきらめさそうとする。

他にもミミに親友ができる話、ミミの母親の再婚
話、ミミが通う喫茶店のバイトで格闘家との交流、
エイの父親のブルース・ミュージシャンに誘われ
最後はミミはコンサートに出演するなど、
盛りだくさんな内容となっている。

女子中学生・高校生の生活を描く作家はたくさん
いるが、ほとんどは女性作家だ。これまでオッサンの
作家っていたかなあ? 気持ち悪いほどに女の子の
心理を巧く描写している。

それから、前回紹介した作品にも言えることだが、
この作家は音楽の演奏の描写が巧い。彼自身、
何かの楽器を演奏している人なのだろうか。

とにかく爽やかと言うか、後味のいい気持ちのよい
小説だ。地味だけど、こういう作品を書く作家がいて、
それなりに読者がついているなら、この日本社会は
安心できる・・・と書くと少し大げさかな。

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