フランク永井が自ら舞台を降りた翌年に、和田弘とマヒナスターズのCDが出た。VDR-1339「フランク永井を唄う」というタイトルのもので、フランク永井の歌った代表的なヒット曲を14曲収めた決定版だ。
和田弘とマヒナスターズは、幾度か紹介しているがビクターでフランク永井と同時代に、吉田正に指導を受けている。吉田正からのオリジナルを多数歌っている。「泣かないで」が大ヒットになった。
マヒナスターズが強烈な印象を残したのは、戦後欧米へ、常夏の国ハワイへのあこがれというブームの中で多数ハワイアンバンドができたが、ハワイアンそのものでは人気に限界がある。そのときに、吉田正が作り上げようとした日本人による日本の歌、すなわち流行歌との結合に挑戦、それが独特な男性の裏声のかろやかなコーラスでの歌謡曲を生み出した。
これは戦後日本の怒涛の産業発展をささえた勤労者の憩いの場での、ムードを盛り上げるBGMとして受け入れられたのだ。フランク永井や松尾和子といった大人のムーディな歌の流行と重なり、この分野ではビクターの独走であった。
マヒナスターズ自身はさまざまな変遷をたどるが、リーダーの和田弘がかなでるスチールギターとコーラスの歌声は、その後多くの同様なムード歌謡コーラスを生む。現在でも一つのジャンルを作って活躍している。
さて、マヒナスターズは別途LPで(後でCD製品化されている)も、吉田正作品やフランク永井のカバーを出している。1996:VAL-12「和田弘とマヒナスターズ」には、「羽田発7時50分」「夜霧の第二国道」「東京午前三時」「場末のペット吹き」「有楽町で逢いましょう」の5曲を入れている。
それに対し、ここで紹介する「フランク永井を唄う」では、これらを一部重なるが14曲を歌っている。まさに、マヒナスターズのフランク永井の決定版である。
01 有楽町で逢いましょう
02 夜霧の第二国道
03 羽田発7時50分
04 加茂川ブルース
05 逢いたくて
06 東京午前三時
07 東京ナイト・クラブ
08 おまえに
09 俺は淋しいんだ
10 夜霧に消えたチャコ
11 こいさんのラブ・コール
12 大阪ぐらし
13 ラブ・レター
14 公園の手品師
味のある和田弘の編曲が、独特のムードある曲になっている。
フランク永井はマヒナスターズとたびたび共演しているのだが、残っている映像はNHKビッグショー「松尾和子」でともに「銀座ブルース」を唄ったものだ。
それにしてもフランク永井の恩師吉田正を先頭に、当時の歌作りのプロたちの力がすごいという印象だ。この時代、誰にでも口ずさめる、耳に残る曲を作ってくれたものである。これらの歌は大衆の心に生涯影響をたもつのだから大変なことである。
そのようなことをつらつらと思いつつ、聴き比べてみた。
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