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2016年03月14日08:01

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☆洋ちゃんの読観聴 No. 1119

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1119

へニング・マンケル 「霜が下りる前に」         

スウェーデン南部の小さな町、イースタの警察署に
勤めるクルト・ヴァランダー警部が主人公の犯罪
ミステリー・シリーズ第9弾。今回は番外編と言って
よく、主人公はヴァランダーの娘リンダだ。とは
言っても、もちろん父親も準主役として登場する。

湖の白鳥が燃やされ、次いで牧場の牛が焼き殺され、
さらに街中のペットショップが放火される。この
連続事件の犯行の狙いはどこにあるのか? そして
犯行は人間にも及ばないか?

リンダ(30歳)は、紆余曲折があったが父親と同じ
職業を選ぶ。警察学校を卒業し、まもなく父親が
勤務するイースタ署に赴任することが決まった。

久しぶりに戻った故郷で、リンダは十代の頃の
友人2人との交友も再開する。しかし、そのうちの
1人アンナが行方不明になる。事件だと彼女は
判断するが、父親はとりあってくれない。アンナの
母親を訪ねても、行方不明を信じてもらえない。
アンナは失踪前に、幼い頃に姿を消した父親を
最近見かけたとリンダに言っていた。
 
動物虐待事件が続く中で、今度は女性が殺害
された。森の小道を探索していた地理学者が
被害者だ。被害者の姿は手を組み合わせ、その
手元には聖書が残されていた・・・。

リンダは父親と同居し、一緒に仕事をする中で
父親の長所も欠点も確認してゆく。また離婚した
母親にも会い、彼女の性格を再認識する。
また友人のアンナとの関係でも、少しずつ自分の
知らなかったアンナの一面が明らかになっていく。

リンダそしてアンナを通した家族の問題も本作品の
もう一つのテーマかもしれない。さらに、最近の
他の北欧小説にも見られるのだが、現代社会に
幻滅した人々のカルトへの傾倒も、もう一つの
テーマだろう。

幾重にも重なった本作品は読み応えたっぷりだ。

本シリーズも未訳はあと2冊。残念だがしかたが
ない。著者は既に亡くなっているのだ。

僕は、ここ数年、北欧ミステリーは素晴らしいと
言って、数々の著者・作品を取り上げてきた。
だが、日本での北欧ミステリー人気は、この
ヴァランダー・シリーズで火がついたわけだ。




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