「懐かしのフランク永井」はいい。映像DVDも見ごたえがあるのだが、10枚のCDにまとめられたA面シングル215曲は聴きごたえがある。聴きなれている代表曲は当然としても、当時も売り出してもあまり売れなかったような曲であっても、大変フレッシュに聴くことができる。
フランク永井の作ってきたイメージに合わないといわれてような雰囲気の曲でも、けっして手を抜くようなことなく、真剣な曲作りをしていることが感じられる。
出されたシングル盤は当時の流れとして、両面が「フランク永井」であったわけではない。むしろ積極的に三浦洸一とか和田弘とマヒナスターズとかのトップ歌手とのカップリングを組んだ。さらに、売り出したい新人の名を出す意味で片面に採用することもあった。
ライナーノートでも出ているように、力道山が経営していた赤坂のクラブ・リキで無名でいい歌を聴かせていた松尾和子を、客として聴いていたフランク永井がその歌のうまさをみつけて、恩師の吉田正をわざわざ連れ出して聴かせた。他のレコード会社からも引きがあったようだ。しかしスカウトに成功したビクターや吉田正やフランク永井が、松尾の売り出しは絶対成功させねばならないと意気込み、A面に松尾のデビュー・シングル「グッド・ナイト」をすえ、B面ではフランク永井とのデュエット「東京ナイト・クラブ」を売り出した。
これは大人のムード歌謡の端緒きずき、デュエットとしてもその「ゴールデン・デュエット」として一大人気曲となった。力道山に対しても恥をかかせるわけにはいかないと、皆が一丸であったという。
フランク永井はデュエットを松尾と何曲か出しているが、このコンビの絶妙さというか、歌のうまい二人の歌唱はおそらく現在でも右に出るものはないと思う。フランク永井は他の歌手と多く歌っているが、今回のA面シングル全集でとりあげられてデュエットあるいは伴唱、コーラスは以下のようにある。
#01 T15 東京踊り 市丸 三浦洸一 神楽坂浮子
#01 T21 夜の波紋 和田弘とマヒナスターズ
#02 T12 三人吉三 三浦洸一 浜村美智子
#02 T16 婿さがし八百八丁 藤本二三代
#03 T02 東京ナイト・クラブ 松尾和子
#03 T10 俺は涙を知らない男 スリー・グレーセス
#03 T14 夜の招待 和田弘とマヒナスターズ 松尾和子
#04 T07 東京デイト ブラック・キャッツ
#04 T09 東京ドドンパ音頭 松尾和子 藤本二三代 多摩幸子
#04 T11 ワイキキの月 ブラック・キャッツ
#05 T08 二人の足音 今井京子
#05 T16 満塁ホーマー ハニー・ナイツ
#06 T01 月火水木金土日の歌 真理ヨシコ 松島みどり
#06 T14 なぜ 松島みどり
#06 T19 国道18号線 松尾和子
#07 T09 恋のバースデー 清水まどか
#08 T21 水のように 浪花千栄子(セリフ)
#09 T08 今宵だけのパートナー 田代美代子
#10 T01 涙への旅立ち 二二・ロッソ(トランペット)
#10 T08 11時(エレブン)過ぎから 松尾和子
どれも独唱では得られない効果を出すのに成功している。コーラスを背景にして歌うことで、メインの歌手の魅力をどう引き立てるかということが、時代としてさまざまな挑戦があったように感じる。
スリー・グレーセス「山のロザリア」は当時毎日流れていたが、彼女らと組んだ「俺は涙を知らない男」。ブラック・キャッツとの曲も2曲でている。ハニー・ハイツと「満塁ホーマー」を歌っているが好きな曲である。
なお、リストの「恋のバースデー」は閲覧くださった方からご指摘があったようにデュエット版ではなくフランク永井だけのソロ版が収録されている。これはおそらく取り違いと思えるが、それにしてもソロ版の音源があったことが驚きである。
ログインしてコメントを確認・投稿する