今日はお泊まり勤務下番につき、午後から休んで久しぶりに「スニーカーズ」を観てました。
1992年のお正月第2弾作品。もう、24年も前の作品なんですね。
「究極の暗号解読器」を巡る、いわゆるハイテク・ネタの作品なので、技術的にかなり「古い」と感じさせる部分があるのは否めない(何しろ、ウィンドウズ95以前の作品ですから)けれど、面白さにおいてはいささかも翳りなし。
なぜか。それは本作が「泥棒映画」として極めてウェルメイドだからなのであります。
狙ったオタカラを如何にして盗み出すか。そのことだけに主人公たちが脳漿を絞りに絞りまくる。そして実行段階における一進一退の攻防。盗もうとする側と、そうはさせじとする側の虚々実々の頭脳戦。
これこそが泥棒映画の醍醐味なんですが、「スニーカーズ」はまさにその線を狙ってるんです。だから面白い!
さらに言うとこの作品、ラスト・ボーイスカウトものとしてもよくできてます。
つまり、時代遅れの正義漢が己の理想を守ろうと奮闘する物語でもあるのです。
メアリー・マクダネル扮するリズという女性が主人公たちを「ボーイズ・クラブ」と評していることからも、それが伺えます。それぞれが優れた技術を持ちながら、それを社会に直接還元しようとせず、自分たちの信じるガキっぽい「正義」にのみ傾注しているわけですから、まあ、揶揄されるのも止むなし。
ただ、彼らには、愛するテクノロジーが悪用されることだけは許さないという矜持があるんですね。「やっていいことと悪いこと」がちゃんとわかっている。だから、アソビ心を持たない、支配欲丸出しの技術濫用者を許すことなく徹底的に戦いを挑むわけです。
件の暗号解読器はどんな複雑な暗号も、システムのパスワードも瞬時に解読して無力化する力を持っています。つまり、それを使えば国の安全保障に関わるいかなるシステムにも侵入が可能になるのです。ならば当然、合衆国政府もそれを手に入れようとします。
主人公たち一派が解読器を手に入れたとたん、NSA(国家安全保証局)がそれを奪いにやってきます(その時に登場する人物が・・・、意外や意外)。
そこで彼らは解読器を渡すかわりにNSAにおねだりをするのですが、これが実に愉快。「ヨーロッパ旅行させてくんない?」とか、「最高級のキャンピングカーが欲しい」とか。あげくの果てには「そこで僕たちに自動小銃を向けてる女の子の電話番号が知りたいんだけど』。
中でも傑作なのは、デビッド・ストラザーンのこのセリフ。
「世界に平和と愛を与えてくれ」
NSAの作戦部長が「合衆国政府はそんなことはしない!」と言うと、
「努力してくれ。努力は大切だよ」
これは最高でしたね。絵に描いたような、実現不可能に見える理想でも、それに向かう努力は絶対に必要なんですよね。こういうことをさらりと言ってのけるのが、アメリカ映画のいいところなんですなあ。
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