「御社は英国製の生地が得意と聞いてお電話したんですが…」私のところにいきなり見ず知らずのひとから電話。90年代終わりごろの話。「つんくさんのあるプロジェクトでタータンチェックの生地が要るんです。ひとたび当たればけっこうな量が動くビジネスになると思うんですが…」たしかにウチの会社は繊維の専門商社、私の担当は欧州毛織物の輸入だった。
毎週「ASAYAN」を見ていた私はすぐにピンときた。でも商売は商売、そういうミーハーなことはおくびにも出さずビジネスライクに取引条件等から聞き出そうとした。ところが彼がとりあえず最初に必要とするタータンチェック生地の分量はとても少なくて商売の単位にならず、さらに彼自身当たれば大きいばかりをくりかえすだけであまり商取引の基本を知らないように見えた。
「とりあえず一度お会いしませんか」こちらがそう言ったあたりで彼からのコンタクトはなくなった。つんくの名前にはそそられたけど、それだけで取引が成立するほど甘くはない。しばらくしておそろいのタータンチェックのミニスカートをまとった5人組の女の子たちがデビューした。たしかに女の子たちは当たったが、タータンチェックが当たったという印象はない。
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自分の声を生業にし、好きなことを気ままに口にのぼらせていたようなひとだけに余計つらさがつのる。きのうのニュースのBGMで「ズルい女」が流れていて、♪ByeByeありがとうさよなら〜とあたかもそれは彼が自分の声に向かって言ってるように聞こえて泣けてきた。これからもいろんなプロジェクトを期待してます。魂の声はかならず届きますから。
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