生まれ育った針中野に行く用事があって、時間がちょっとあまったついでに散髪をした。近鉄南大阪線の駅前からまっすぐ、かって自分が住んでいた場所までわずか数百メートルのところにある理髪店。ここは以前紳士服のスリーMだったか…。たそがれ時のこの雰囲気はかって何度となく味わったもの、なんともノスタルジックな気分になりました。
帰りにたこ焼きの「ナカノ」に立ち寄る。そう、子供のころにお邪魔していた散髪屋はこのたこ焼き屋の隣りにあって、“散髪→たこ焼きをお持ち帰り”というのは当時のおきまりのパターンだったのです。町一番の老舗は代替わりしながらまだ続いていて、こちらも針中野に寄るたびにお邪魔している。素朴な店内のたたずまいは40数年まったく変わらない。
5個100円からというとんでもなくお安い値段設定。イマドキの大ぶりなたこ焼きに慣れてしまった目にはやや小さく映る。でもあのころのたこ焼きってどこもこれくらいだったじゃないですか、いくぶん粉っぽい感じもふくめて。とりあえず10個注文して適当なところに腰掛ける。お水はもちろんセルフサービスだ。来店客ひっきりなし。
ところが店内でたこ焼きをつついているお客が、すべてこちらと同じ世代なのだ。こちらが入る前からいた男性は明らかに50がらみ、あとからやってきた女性は40代、そう小遣いを握りしめてやってくるかっての自分のような少年少女はまったくいない。ひょっとしていまやここはノスタルジーの溜まり場か、そんなことを思った冬の夕暮れでした。
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