まさに待望の書という感じ、一気に読んでしまいました。物語は1969年からスタート、このほぼ半世紀の日本のポピュラー音楽の流れをJポップ以前と以後に大きく二つに分け、さらに10年ごとに区切った各章それぞれに主人公を設定し、その歴史をたどっていくというなんとも興味深いクロニクル。著者は1964年生まれの批評家にして早稲田大学大学院教授。
各ディケイドの主人公というのは以下の通り。70年代=はっぴいえんど、80年代=YMO、90年代=渋谷系と小室系、ゼロ年代=中田ヤスタカ。もちろん彼らが日本のポピュラー音楽のすべてであるわけはなく、偏っていると言われても仕方ありません。それでもピチカート・ファイヴに20ページ、Perfumeに10ページも割かれていたりすると無条件で許してしまうのです。
はっぴいえんどやYMO周辺に関しての記述は読みごたえありますが、渋谷系がひと段落したあたりからの20年間はちょっと詰め込みすぎたかな。まあここ10年ぐらいの日本のポピュラー音楽は拡散・混沌をくりかえしていますから、明確な結論を導き出すにはまだまだ時間がかかるということでしょう。そのあたりの状況を著者は“「Jポップ」の葬送”と表現しているのですが…。
大瀧詠一から小西康陽、中田ヤスタカに至る流れ(というか本書での主人公であるミュージシャンほとんどがそうなのですが)を“リスナー型ミュージシャン”と規定したり、ミュージシャンが創作するさいに参考とするベクトルが、過去の海外/過去の国内/現在の海外/現在の国内の4方向あるとする考えかた、このあたりの分析は非常に面白く読めました。
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