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2014年03月18日16:00

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「あなたを抱きしめる日まで」〜これぞ英国の味わい

単に物語の枠組みだけを取りあげれば、市原悦子と船越英一郎で2時間サスペンスドラマに仕上げてしまうことだっておおいに可能。たしかに場面によってはそれっぽい音楽も流れていたし。でもそれをそうさせないのは英国映画の持つ気品・ユーモア・特有の湿っぽさ、そしてやはりこの作品でアカデミー主演女優賞にノミネートされたジュディ・デンチの存在。

50年前に生き別れとなった息子を捜し求めるアイルランド人の主婦フィロミナは、このネタを三文記事にすべく接近してきたした元エリート記者とはるばるアメリカに渡る。ワシントンで彼女たちを待っていたものは…。主婦と記者の宗教観は対立し、物語が進むにつれてそれがじわじわと意味を持ってくる。そしてそれはクライマックスにおける大きな問題提起となる。

主演ジュディ・デンチの抑制された演技が見もの。いや日本人の感情表現とくらべれば、もちろんそれはじゅうぶん喜怒哀楽をあらわにしたものだけど、それでも物語の節目ごとに見せる彼女の表情やしぐさは、とても並みの女優では表現できない繊細なもの。彼女の目線だけに注目していても興味深い作品だなと思いました。

そして記者役を演じたスティーヴ・クーガンも魅力的。もともとはスタンダップ・コメディアンそして人気ラジオDJだったという彼はこの作品における共同脚本家でもあり。こんな素敵なキャラがまだ英国映画界にはいたのかと、隠し玉的魅力を感じる男優でした。日本でもこういうキャリアの男優がいたような気がするけどちょっと思い出せません。

原作は英国におけるベストセラー・ノンフィクション作品。「クィーン」の監督、「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」の製作チーム、そして主演ジュディ・デンチ。まさにチーム・ブリテンが作り上げた一作。他のアカデミー作品賞候補作にくらべればホント小品の部類に入るけど、あとあと心に残る味わいだけは最優秀ものだと思います。


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