カンヌ国際映画祭審査委員長スティーヴン・スピルバーグはこの作品が受賞すると最初から確信してたと。そしてニコール・キッドマンは後半1時間涙がとまらなかったと。ホンマかいな。まだまだ中流意識が多数をしめる日本社会の、このビミョウな格差のアヤがあんたら欧米人セレブにわかるのかいなと。「そして父になる」、そのあたりのアヤが物語のカギになると思うのです。
ひとことで言うと子供取り違えの話。物語は福山雅治演じるエリートの側から描いていきます。だから観る側はまず彼のほうに感情移入してしまうんですね。あえてイケメンスターの福山を起用したのは、まず観る側の気持ちを彼に引きつける狙いがあってのことかも。やがて取り違え相手の父親、電器屋店主(リリー・フランキー)が登場。あまりにも対照的な両者の生活ぶり。
しかしそれはあくまでも我々が想像できる範囲の、けっして《王子と乞食》ではない日本中流社会内での対照です。観ている我々のほとんどはどちらときめつけることなくその中間地点で日々を送っているのでは。だから観ているうちにこちらの気持ちも揺れてきます。エリートの生活ぶりはうらやましいけど、電器屋の生活のほうが人間らしいかもなと。
もちろんこの作品のメインテーマは父と子の関係。でも子供がいないせいか私は両者の(けっして経済的なものだけではない)格差みたいな部分に注目してしまいました。シンプルなセリフのやりとりそしてときおりピアノ曲が流れる以外は基本的に静かな映画。それは是枝監督がシーンのあいまあいまにじっくりと考える時間をこちらにあたえてくれているのだと思うのです。
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