■■10月の“観た”から
◆【映画】(含むDVD,TV放送)
59 NHK-BS「極上美の饗宴」より『フェルメール ”女” 見つめる謎』佐藤憲正
60-33『風にそよぐ草』A・レネ
61『歓楽通り』P・ルコント
(*)タイトルの前の数字は今年の通算ナンバー、total数 ― 映画館で観た数。タイトルの後ろは、監督ないし演出家。
・・・10月はたった3本しか観ていない、映画館で観たのは内1本のみ。
59は、メトロポリタン美術館を訪ねた中村獅童が、所蔵のフェルメールの5作品に触れ、フェルメールの秘密に迫るというもの。
絵具の層別エックス線撮影によって発見、『眠る女』の背景に描かれていて、後本人により消された男と犬の存在の意味。
そして、フェルメールはそれを何故消したのか。
60,61は、10月の日記で個別に触れています。興味おありの方は先月の日記をご覧下さい。
◆【演劇・オペラ・バレエ他】(含むDVD,TV放送)
16-3薪能第2夜『玄象』 梅若猶彦他
(*)タイトルの後( )内は作曲者,原作者等。その後ろは、演出/指揮/演奏の順。但し、現代劇と異なり、古典の能楽・歌舞伎のシステムには明確な原作者や演出者は存在しない。あるのは宗家の伝統と演者だけである。
・・・10月の日記参照。
◆【美術】
43舟越桂展/メナード美術館
44丸木俊展/三岸節子記念美術館
45三岸節子展/同
46「巨匠たちの世界〜文化勲章受章者・文化功労者による競演」展/平野美術館
・・・43〜45については、10月の日記参照。
46は、10/24(水)、浜松市下の平野美術館にて鑑賞した。
文化勲章は、1937(昭和13)年に制定されたものであるから、明治・大正期にのみ活躍した芸術家は含まれない。
この展覧会で展示されているのは、竹内栖鳳、横山大観、藤島武二、上村松園、梅原龍三郎他から57点、同館所蔵品を中心に。竹内,藤島,横山は第1回の文化勲章受賞者である。
竹内栖鳳からスタートした展示が、最後は草間彌生のシルクスクリーン作品10点で閉じられているのが、唐突感があって面白い。ちなみに、草間は2009年の文化功労者。
(写真1)…澤田政廣(1894-1988)の木彫『靈泉』(1940)
■■10月の”聴いた”から
◆【コンサート・講演他】(含むCD,放送)
132〜136文芸大社会人聴講<芸術特論D>� 銑ノ�入正之
137薪能第1夜特別公開講座 高田和文,梅若猶彦他
138シンポジウム「見えるものと見えないもの〜能をめぐって」マッテオ・カザーリ他
139〜142 SUAC公開講座<ミュージアムの時代>�◆銑�
143-7「バンバン！ケンバン♪はままつ」〜横山幸雄リサイタル
144-8同〜木村かをりリサイタル
145 CD「J･デュ･プレ チェロ協奏曲」(エルガー&ディーリアス) J･バルビローリ/ロンドン交響楽団 他
146〜153放送大学講義<芸術史と芸術理論>�ァ銑�,����
154〜155同<ヨーロッパの歴史と文化>����
・・・132〜136、文芸大社会人聴講については、136の第5回のみレポートしていない。11月に入ってしまうが、追っ駆け書くつもりでいる。
137、薪能講座については10月の日記参。
138は、10/19(金)に文芸大で行われた能関連シンポジウム。
このシンポジウムは、ボローニャ大学(伊)と文芸大の共同で進められている<身体芸術論研究>の一環として開かれた。
昨2011年11/10には、ボローニャ大側で「新たな能〜非連続の連続」なるシンポジウムが行われており、それに連携した形である。
また、先立つ10/3,4に文芸大で行われた薪能とも関連付けられているのは言う迄もない。
前半に研究報告、後半に討論、というスタイルで進行された。
<研究報告>
� 峺�えるものと見えないもの〜能をめぐって」 梅若猶彦
�◆峺�えないものを表す〜役者と舞台上の関係性についての仮説」 M・カザーリ(ボローニャ大)
��「異文化環境下のフィリピンの能における<見え掛かり>と<見え隠れ>」 A・A・ウマリ(フィリピン大ディリマン校)
�ぁ崘修鬚瓩阿詈顕集鯲�〜東と西、古典と前衛」 高田和文
当シンポジウムの中心はマッテオ・カザーリの報告。
全体像をレポートする事はできないが、能とは「見えないものを見えるようにしてきた」演劇史を持つ、と彼は言う。
世阿弥の『風姿花伝』に能の起りが、象徴的に描かれている。
即ち、「天岩戸(あまのいわと)」神話がその遠い起りであって、天照大神(あまてらすおおみかみ)が岩戸に隠れ、世の中は闇に閉ざされる、つまり見えない世界になった。そこで、天鈿女命(あめのうずめのみこと)が、岩戸の前で滑稽に踊り、八百万(やおよろず)の神々を大いに笑わせると、天照は外の様子を訝り、岩戸から出てくる、即ち、見えないものが見えるようになったのである。
能楽は、この天鈿女命の踊りを起源にするのである(云々)。
(写真2)…ボローニャ大シンポジウムレポートの魅力的な表紙
139〜142のSUAC公開講座<ミュージアムの時代>については、第1回を9月、第4回を10月の日記で触れている。
他については、テーマと担当講師だけ記しておく。
第2回 10/6(土) 博物館からエコ・ミュージアムへ 四方田雅史講師
第3回 10/13(土) メディアアートとミュージアム 的場ひろし教授
第5回 10/27(土) ミュージアムの空間とデザイン 海野敏夫教授
143〜144については、10月の日記参。
145は、惜しまれつつ若くして亡くなったチェリスト、ジャクリーヌ・デュ・プレ(1945-87/英)の名演CD。
エドワード・エルガー(1857-1934/英)とフレデリック・ディーリアス(1862-1934/英生まれだが両親は独)のチェロ協奏曲。共に1曲ずつしか残していないからナンバーはない。
・エルガー ホ短調op.85
第1楽章 アダージョ〜モデラート
第2楽章 レント〜アレグロ・モルト
第3楽章 アダージョ
第4楽章 アレグロ・マノン・トロッポ
指揮 ジョン・バルビローリ、演奏 ロンドン交響楽団
録音 1965年8月
・ディーリアス RT.vii-7
単一楽章、レント〜コン・モト・トランクィロ〜レント〜コン・モト・トランクィロ〜アレグラメンテ。続けて演奏される5楽章という理解も可。
指揮 マルコム・サージェント、演奏 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
録音 1965年1月
デュ・プレは1961年に16歳で驚異的なデビュー、1世紀に1人の名女流チェリストと評された。彼女の演奏は、まさに全身全霊をもって音楽に没入するという風。
1971年、26歳、彼女は身体に違和感を感じだした。1973年に下された診断は、多発性硬化症(MS)だった。同年、28歳、事実上演奏家生活から引退。
MSは原因不明、治療法も確立されていない難病で、四肢の麻痺、失明、意識障害等々の症状が現れる。14年の闘病の後、1987年、42歳で死ぬ。
彼女の生涯と苦悩は『風のジャクリーヌ』に詳しい。ヒラリー&ピアス・デュ・プレ(ジャクリーヌの実姉・弟)著、高月園子訳、�螢轡腑僖�1999年発行。
このCDの録音時、彼女は弱冠20歳。演奏は、心の奥底から湧き出るもので、より大きなうねりとして音楽を捉えている。1度聴けば、これがジャクリーヌの演奏だと判り、2度と忘れない。涙が出る。
(写真3)…ジャクリーヌ・デュ・プレのCDジャケット
146〜155の放送大学講義については、各回の明細を記すに留める。
<芸術史と芸術理論>
第5回「ロマネスク美術〜輪廻転生のプラトン主義」青山昌文
第6回「ゴシック美術〜内在のアリストテレス主義」青山昌文
第7回「イタリア・ルネサンス美術〜ルネサンスの新プラトン主義」青山昌文
第8回「イタリア・ルネサンス美術〜ルネサンスの政治思想」青山昌文
第9回「北方ルネサンス美術〜宗教改革と芸術」青山昌文
第14回「現代の芸術〜死の影の下の芸術」青山昌文
第15回「今日の芸術〜環境問題と芸術」青山昌文
<ヨーロッパの歴史と文化>
第14回「新しい帝国主義と非ヨーロッパとの関係」草光俊雄
第15回「まとめ：ヨーロッパにおける統合と分離」草光俊雄,河原温
■■10月の”読んだ”から
◆【書籍】
33「ダンスマガジン」’09.1月号パリ・オペラ座『天井桟敷の人々』特集 ジェタール・マノニ他
34『舟越桂2012 永遠をみるひと』村上久美他
35『生誕100年記念 丸木俊展〜「女絵かき」がゆく モスクワ、パラオ、そして原爆の図』杉山章子
(*)書名の後は、著者,寄稿者,監修及び編集者。
・・・33 来春5月に来日するパリ・オペラ座バレエの演目は『天井桟敷の人々』。その特集が、月刊「ダンスマガジン」誌の2009年1月号に組まれていた事を、たちあおいさんに教えて頂いたので、事前勉強として、図書館から借りて読んだ。
34,35は、【美術】43,44の図録。
34は、メナード美術館、2012年発行。
35は、一宮市三岸節子記念美術館、2012年10/6発行。
『道化師の蝶』を読んでいるが、なかなか進まない。11月には感想を書こうと思う。
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11月からの希望的計画
■■観たい
◆【映画】
10/27〜11/9『バレエに生きる』,10/27〜11/9『ぼくたちのムッシュ・ラザール』,11/3〜16『テイク・ディス・ワルツ』,11/19〜23『ピアノマニア』,11/24〜12/7『屋根裏部屋のマリアたち』,12/1〜14『あの日 あの時 愛の記憶』,12/8〜21『ライク・サムワン・イン・ラブ』,1/12〜25『ソハの地下水道』『不惑のアダージョ』『カリーナの林檎〜チェルノブイリの森』『黒澤その道』『孤独な惑星』『瞳は静かに』『孤独な惑星』『永遠の僕たち』『カミングアウトストーリー』『善き人』
◆【演劇・オペラ・バレエ他】
‘11.10/1NHK-BS<プレミアムシアター>演劇『たいこどんどん』(井上ひさし)
12/31<同>歌劇『魔笛』(モーツァルト)ミラノスカラ座
‘12.1/14<同>歌劇『ファルスタッフ』(ヴェルディ)『道化師』(レオンカヴァルロ)チューリヒ歌劇場1/21<同>オペレッタ『こうもり』(J・シュトラウス��)ウィーン国立歌劇場
7/30<同>オペレッタ『メリー・ウィドー』ウィーン・フォルクスオーパー'12来日公演
・・・放映日は過ぎているが、まだ録画を観る事ができずにいる。
‘13.1/6歌劇『フィガロの結婚』 プラハ国立劇場オペラ日本公演/アクトシティ浜松大ホール
5/25〜26バレエ『天井桟敷の人々』 パリ・オペラ座日本公演/愛知県芸術劇場大ホール
◆【美術】
10/16〜12/24レーピン展/浜松市美術館
10/30〜12/9平櫛田中展/三重県立美術館
12/21〜2013.2/11「クリムト 黄金の騎士をめぐる物語」展/愛知県美術館
'13.1/19〜5/7エル・グレコ展/東京都美術館
■■聴きたい
◆【コンサート・講演他】
11/10〜24浜松国際ピアノコンクール
11/25相曽賢一朗ヴァイオリンリサイタル
■■読みたい
◆【書籍】
『イタリア絵画史』『王国』『道化師の蝶』『幻影の星』『マルセル』『楽園のカンヴァス』
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