全編ハワイが舞台。青い海や色とりどりの花、緑濃く美しい山並み、ゆっくりとした時の流れ、のんびりとしたハワイアン音楽。しかしそこで起きることは人間同士のなまぐさくドロドロしたイザコザ。映画「ファミリー・ツリー」はこのふたつの要素の対比が実に興味深い傑作でありました。
妻は事故で寝たきりのまま、そして娘たちは途方もないオテンバ。苦悩はつきない中年男が主人公。物語は父と娘たち、彼らの距離がどう縮まっていくかということがメインテーマ。そこへ並行して妻の過去、そして先祖代々から譲り受けた広大な土地の売却問題がからんでくるのです。
この作品でのジョージ・クルーニーにいつもカッコよさはまったくなく、無様なまでにドタバタと走るシーンはあまりにも滑稽な中年男のすがた、彼と同い年の私としては身につまされるのでありました。でもこういうキャラを演じることも役者冥利につきるんではないかと思ったり。
娘役ふたりが好演。特に10歳の次女を演じた子、あるシーンでの哀しみに満ちた表情はもはや天才的と言ってもいい演技。あと長女のボーイフレンドは誰でも殴りたくなるトンデモ兄ちゃん。でも作品全体にとてもいいアクセントとなっていました。
それにしてもまたもや認知症に病む人物が登場。このところ日本やイラン、どこの映画を見ても出てくるこのキャラはいまや認知症がワールドワイドな問題となっていることの裏返しか。もっともそれは、こちらが人間ドラマ的な作品ばかり観ているせいでもあるのだけど。
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