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2015年01月18日13:30

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「昭和歌広場」SPレコードとトークでつづる歌謡史〜藤山一郎青春の歌戦前編(上)

 前後歌謡曲の大きな普及の足掛かりとなったラジオ歌謡、そしてその前段のSP時代と広く研究をすすめておられるIHさん。落語や歌謡曲など日本の演芸関係の著書を多数出されている保田武宏さん。武田さんは読売新聞の記者をされ日本文化全般についての生き字引のような方で、フランク永井との親交も篤かった方。歌謡曲関係の著書では「銀座はやり歌」がある。
 東京神田神保町の古書センターの一角にある「らくごカフェ」で第5回の「昭和歌広場」が開かれた。「昭和歌広場」SPレコードとトークでつづる歌謡史〜藤山一郎青春の歌戦前編というテーマで、IHさんの案内で楽しむ機会があった。保田さんが解説をされるというのでたいへん楽しみだった。
 この会は何年か前から始まり、小さな会場であるが、そのぶん熱心な愛好家だけが寄るために、専門家的な説明や話でも会場を巻き込んで盛り上がるような感じであった。
 この催しの特徴はSPレコードを演奏し、そのレコードが出た時期の世相や、歌手や作曲家や作詞家やレコード会社のやりとりなどについての裏話というか動向をリアルに説明がはいるという、きわめて薀蓄力が活かされるという点。流行歌と落語は、フランク永井の例にあるように、大衆文芸としてはたいへん近い関係にあるように、噺家と流行歌や当時の楽曲との関係もそうとうな密接感がある。その分野の一員でもあり、こうした催しの司会としても活躍されている若い林田雄一が保田さんと競うようにトーク・バトルをくりひろげられる。それが、会場を笑いや拍手のうずに巻き込む。
 会場でのSPレコードの再生は、いわゆる蓄音機再生ではなく、SP最後の時期の最高の機材を使って行われる。それだけに、再生音量も大会場での楽しめるレベルのものがそのまま使われているという贅沢なものだ。
 最後には加藤浩さんと林田の即興イントロ紹介漫才が繰り広げられる。口三味線で加藤が演奏を始めるとそれを聴いて林田が曲名を答え、されにイントロ中に曲の紹介を話し、数小節を歌うという、何とも難しい芸をみごとにやっていくというもの。発売の年、作詞、作曲、エピソードまでしっかり覚えていなければ、無数に存在する歌についてこのような芸はできない。感心しきりといったところだ。
 さて、当日の出し物として藤山一郎の昭和6(1931)年から昭和16(1941)年までの18曲が紹介された。保田・林田が所有する盤のなかならお二人でセレクトしたとのことだが、戦前編を18曲にしぼるのは無理があるということで、急きょ戦前編を上下二回に分ける編成にしたとのことであった。

 1.キャンプ小唄(S6)島田芳文、古賀政男
 2.酒は涙か溜息か(S6)高橋掬太郎、古賀政男
 3.丘を越えて(S6)島田芳文、古賀政男
 4.スキーの歌(S7)島田芳文、古賀政男
 5.僕の青春(S8)佐伯孝夫、佐々木俊一
 6.燃える御神火(S8)西条八十、中山晋平
 7.僕の銀座(S8)佐伯孝夫、加藤しのぶ(歌唱四家文子と)
 8.千鳥格子(恋の湯の町)(S8)永田幹彦、松平信博
 9.チェリオ!(S9)佐伯孝夫、橋本国彦(歌唱小林千代子と)
10.東京ラプソティ(S11)門田ゆたか、古賀政男、仁木他喜雄
11.青い背広で(S12)佐藤惣之助、古賀政男
12.歓喜の丘(S13)島田芳文、古賀政男
13.上海夜曲(S14)野村俊夫、仁木他喜雄
14.懐かしのボレロ(S14)藤浦洸、服部良一
15.なつかしの歌声(S15)西条八十、古賀政男(歌唱二葉あき子と)
16.燃ゆる大空(S15)佐藤惣之助、山田耕筰(歌唱霧島昇と)
17.ビヤ樽ポルカ(S15)藤浦洸、仁木他喜雄編曲
18.崑崙超えて(S16)大木惇夫、古賀政男

 藤山一郎がビクター時代のときには佐伯孝夫が早や昭和8(1933)年の時点で歌詞を提供している。また、先日機会があってフランク永井のごく近くにおられた方から「僕の銀座」という味わいのあるオリジナル曲を聴かせていただいたが、これと同題名の曲が聴けたのも何かの縁と嬉しかった。
 SP時代が全盛を迎え終えていく時期に活躍した人のひとりであるフランク永井についても、これからの企画でぜひとりあげてほしいと思う。
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