1年延期の末に昨年開催された東京オリンピック、その公式ドキュメンタリー映画2部作のうちの第1作。今作はアスリートとその周辺部分に焦点を当て、3週間後に公開となる「SIDE:B」では大会関係者・スタッフ・ボランティア等、非アスリートを取り上げる。河瀬直美が総監督、主題歌・ピアノ劇伴ともに藤井風が担当。
いわゆる“名場面集“とは対極の位置、さらにスポーツドキュメントものにありがちな、躍動するアスリートの身体をとらえた映像もそれほど多くない。各国各競技の有名無名選手が代わる代わる登場、ただ彼らを並行して追いかける既存の構成ではなく、観る側はさまざまな素材をぶつ切りのまま目の前に並べられたような感触が残る。
そのぶん印象に残るのは何度となくアップになるアスリートたちの表情。タイムやジャッジなど、緊張感とともに注目する競技結果にたいしても、けっして電光掲示板等の数字をダイレクトに映さず、彼らの表情を追うことのみに終始する。日本国民おなじみのシーンもないことはないが、それらは逆に取ってつけた感が否めない。
ただし河瀬監督自身がかって競技者のひとりであり、現在その組織の会長も務めるある球技に関しては、やや目線が甘くなってドラマティックな仕立てに終始したような。SIDE:Bはよりドキュメンタリー的要素が増して興味深く感じるが、まあ公式映画である以上は批判的なスタンスかつダークな側面はそれほど望めないと思うけど。
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