BS朝日の「ザ・ドキュメンタリー〜山本直純〜音楽の底辺を広げた男」を観た(3月16日)。かねてから日本の音楽家で、それとなく感心し注目しているのは、山本直純、浜口庫之助、小林亜星だからだ。
彼らは一様にフランク永井との関係はそう深くないのだが、生きざまが愛すべき何かを多く持っているとみるからだ。
山本直純は、音楽界でこのタイトル通り、まさに「音楽の底辺を広げた」ことだ。音楽一家に生まれ、まれにみるほど優れた感性を持っており、昔から高尚と言われたクラッシックをきわめ、それにとどまることなく大衆音楽の発展に貢献した。
印象的なのは映画「寅さん」の主題歌でもあるが、テレビ番組「オーケストラがやってきた」での活躍であろう。同様な志向で当時は黛敏郎の「題名のない音楽会」というのをやっていた。双方は競って高尚な音楽の世界を庶民の分化に結合した。
その二人の手法は実にそつがなく、分かりやすく、恐らくこれほど優れた音楽教室は空前のことであったろうという印象がある。音楽に無知な筆者などでも、どれほど楽しく親しみやすかったことか。感心しきり。そのひとりが山本直純だったのだ。
東京芸大で小澤征爾、岩城宏之とともに斎藤秀雄に従事した。「おまえは世界の頂点をめざせ。おれは底辺を広げる」と小澤に言い生涯それを実行した。この精神というか音楽への姿勢は、その後も多くの作曲家に影響をおよぼして今日に至っている。
山本の生きざまは必至。学生時代から家族の財政を支える。生涯の妻を得る。大きいことはいいことだ、のキャッチをひっさげ、おおげさな身振りハデな手振りでテレビの画面いっぱいに躍動する。いっけん飛んだおじいさんというところだが、そうした行動のする思考は深い。
「男はつらいよ」の主題歌を作るにも、歌う渥美清のイメージを最大限にふくらますために、とことん追求する。多忙の中で常に締め切りの追われて仕事をするのだが、そのきつい制限が他の追随を許さないひらめきを生むのだという。星野哲郎の作詞。その曲は淳美の魅力を全開させた。
無免許運転、制止した警官を振り払って逃走する騒ぎを起こした。翌日に出頭して、自分で謹慎を発表する。ファンを驚かす。自民党の党歌を作る、等々のエピソードも残す。山本の一家は現在でも音楽ファミリーとして健在だ。
さて、山本直純とフランク永井だが、フランク永井は2曲歌っている。一つは第18回芸術祭参加作品「旅人」(相馬詩彦作詞、飯田信夫作曲)のB面で「さあ太陽を呼んでこい」という歌だ。これは元都知事の石原慎太郎の作詞で、NHKみんなのうた作品だ。NHKでフランク永井の歌唱が流れたかは不明だ。立川澄人やほかの歌手が歌っているのが紹介されている。
これは子供たちが合唱ではきはきと元気良く歌い、気持ちを元気にさせるという歌だ。フランク永井が流行歌手を忘れて、いい歌唱をしている。
そして、もう一つはまったくのオリジナルで、1964年のフランク永井のアルバム「ステレオ・ハイライト第3集」(1964=S39、東京オリンピックの年)に収められた一曲で「愛する」(山上道夫作詞)。
「あなたを愛す、あなたを愛する…」の繰り返しのような、女性が相手を深く愛するさまを語るというような詩を歌っている。フランク永井の歌唱の魅力を引き出そうということのようだったが、はて、ファンにはどう聴こえたのだろうか。
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