年に一、二度招待券をいただいて、大阪・松竹座あるいは京都・南座に足を運んでいるわけですが、未来の松竹新喜劇を背負っていくであろう藤山扇治郎28歳に注目というか、彼を応援する気持ちがやっぱり大きいんです。そして回を重ねるごとに劇団のなかでの彼の存在が大きくなっていくのが、手に取るようにわかるから面白いんですね。
今回の演目「はるかなり道頓堀」は半世紀前に舘直志(二代目渋谷天外)が書き下ろした作品。新喜劇としてはめずらしく三幕、トータル100分を超える長尺もの。かっては藤山寛美と二代目天外が演じたこの名作をそれぞれの孫と息子が演じるという趣向、今回の扇治郎はかって祖父が得意としたアホ役ではなく、物語のなかでの清涼剤的存在として輝いておりました。
あくまで劇中のセリフのひとつなんですが、座長三代目天外が扇治郎に向かって、「これからの道頓堀を背負っていくのはお前だぞ!」というキメの言葉があり、これこそがすべての劇団員そしてすべての松竹新喜劇ファンによる、扇治郎にたいする期待にあふれたメッセージだと誰もが深く納得し、場内は万雷の拍手となったわけであります。
もちろん他のベテラン役者たちも元気いっぱい、ことし83歳になる小島慶四郎はセリフも動きもややおぼつかないながらあいかわらず味のある存在だし、もっともコミカルな存在の曾我廼家寛太郎は時代設定をまったく無視して、五郎丸のポーズをアドリブでキメる始末、17日間におよぶ公演の初日の昼の部、つまり本当の初っ端にもかかわらず、さすが余裕の舞台でした。
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