フランク永井を追うファンとしてテレビの歌番組をウォッチしています。
今週観た番組で見ごたえのあったのは3月21日放送の「ザ・偉人伝 ムード歌謡の女王八代亜紀・青江三奈・松尾和子〜あのハスキーボイスに酔いしれて〜」です。
BS朝日の「偉人伝」「ザ・偉人伝」は落ち着いた質の良い番組作りで人気です。近年松尾和子についてBSテレ東で特集が組まれましたが、それに次ぐまとまったものでした。違った視点で作られていて新鮮に受け取れます。
フランク永井が赤坂のクラブ「リキ」で松尾の「メランコリー」を歌うのを聴いて、歌のうまさに魅せられて、師匠吉田正に報告します。誘って一緒に松尾の歌を聴き、師匠はうなずきます。吉田正が目指していた都会派ムード歌謡の世界に欠かせないと感じてデビューに持っていきます。
このあたりのエピソードについては忠実に再現映像を作っています。松尾和子は「東京ナイト・クラブ」でフランク永井との絶妙なかけあいデュエットをみせます。これは大ヒットとなり、その後裕次郎と牧村による「銀座の恋の物語」を始めとする、大人の男女のかけあいデュエットを世に出すきっかけを作りました。
演歌、ロカビリー、リズム歌謡を含む多様な歌謡曲のなかで、ムード歌謡、ムードコーラスというジャンルが独特の姿で定着していきます。この分野で活躍していたのが青江三奈であり八代亜紀らであったのです。
この三人がムード歌謡の世界では突出していたということは、誰もが認めるのではないでしょうか。今回の番組でも彼女らの歌唱は、古い映像であっても磨ききって使っています。当時はフランク永井の映像もそうでしたが、流れるテレビ録画音声は「ムード歌謡」の再現には向いていなかったのです。誰にも聞きやすい中音中心でした。だから、フランク永井も松尾和子も青江三奈も八代亜紀もレコードやCDで聴くと、歌唱の凄さが響いてきます。
ムード歌謡とはいったいどんなものなのか、ということについてゲストの漫画家やくみつるが絵に描いて「このあたりだ」と、指しているのが面白かったです。同様なことを感じている人がいるんだなとニヤッとしました。
「ザ・偉人伝」の前回は「三波春夫・村田英雄〜日本を元気にした昭和歌謡の巨匠〜」でした。BS朝日では徳光番組でも「三波春夫・村田英雄・三橋美智也・春日八郎」をやっていました。前者は再放送、後者も過去の特集と多くは被っていましたが、なかなか見ごたえがありました。
昭和歌謡を振り返るときに、このようにライバルをならべて紹介するのが、番組作りとして多いのですね。確かに分かりやすいし、一人だけ取り上げるよりも視聴者には飽きさせない手法かとも思います。そうすると、フランク永井はどうでしょう。
難しいですね。活躍していた当時は「低音三人男」として、フランク永井、裕次郎、そして水原弘でした。だがそれは一時でした。視聴者の立場でどういった歌手と一緒なら喜んで受け止めてくれるかと考えると、これといったライバルは思いつきません。
それだけ独特だったともいえるが、歌謡史では欠かせない歌手なわけですから、この辺りを考えてフレッシュな番組が出てくることを期待します。
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